ダイソーの調理コーナーをパトロールしていると、見慣れない包丁が目に入った。黒……! 漆黒といっても過言ではないくらいのブラック仕様な『万能包丁』が売っていたのだ。それも、普通の『万能包丁』の2倍の価格「200円」で……!!
一体何が違うのか。だってだって、パッケージをよく見てみると……書いてある文言、ほぼ同じ! どちらも「お肉・魚・野菜、なんでも切りやすい」とのことだけど……もっとこう、何が違うのか教えて欲しいのだ!
ちなみに、パッケージの裏側に書いてあることもほぼ同じ。どちらも長さは約27.4cmの「ステンレス刃物鋼」で、デザインは日本、製造は中国。表記上で違うところといえば、価格と色(フッ素樹脂塗装)のみである。
さらにじっくりと実物を見比べてみたところ……
……やはり色が違うだけで、刃や柄の形状は完全に同じ。そんなバカなことあるか。色を塗っただけで価格が「倍」するなんてこと、あるか? たしかに黒のほうがカッコイイけど……。
ともあれ、なんだか釈然としない気持ちのまま、果物を用意して切ってみることにした。ちなみにワタクシ、調理師免許を持っているほどの料理好きで、包丁の扱いも慣れている方の人間だ。
まずは100円の『万能包丁』を使って、皮の厚いパイナップルを切ってみたところ……
えっ!? (笑)
マジで!? (笑)
ちょっとビックリ。笑ってしまった。何が起きたのかと言うと、想像以上に切れたのである。とても100円の包丁とは思えないくらい、すばらしい切れ味だったのである。こんなに切れるもんなの!?
お次は、期待の200円『万能包丁(黒)』。その切れ味や、いかに……!?
ほぅ……(ニヤリ)
切れる。これまたメチャメチャ切れる。ルパン三世の石川五ェ門でも納得するであろう切れ味。しかし正直言えば、100円『万能包丁』との違いがよくわからなかった。逆に言えば、それほど100円『万能包丁』の切れ味が衝撃的だったということ。
しかし、この後、変化が起こる……。
パイナップルの次に、オレンジ、グレープフルーツ、そしてリンゴ……と切っていったのだが、なななな、なんと! 徐々に、徐々に、100円『万能包丁』の切れ味が悪くなっていった……ように思えたのである。
「そんなにすぐに刃がダメになるかよ!」と私自身も思ったりするが、事実として、ずーっと切れ味が変わらなかった200円『万能包丁(黒)』に比べ、100円『万能包丁』の方は徐々に徐々に……切れ味が鈍っていったのであった。
──結論として、どちらの包丁が「買い」なのかというと、圧倒的に200円『万能包丁(黒)』だ。さすが倍の値段するだけのことはある。「こんなにも切れ味、違うんか」と本気で思ったし、特にリンゴの皮剥きなんて、それを顕著(けんちょ)に感じた。きっと切れ味が劇的に変わる何らかの “加工” がされているのであろう。研ぎ方とかね。
……とか考えていたら……
なんだか、突然、嫌な予感というか、不安になってきた。もしも、この100円『万能包丁』と200円『万能包丁(黒)』の違いが、本気で “色を塗っただけ” だったとしたら……と考えると。
「圧倒的な切れ味の違い!」「さすが値段が倍なだけはある!」とか記事にして、実は「色を塗っただけ」だったとしたら……!! それって、めちゃくちゃ恥ずかしくないか? 今回ばかりは、ちゃんと確認したほうが良いのでは?
ということで……
私はダイソーのお問い合わせフォームに質問状を送った。単刀直入に、「200円のほうは、色の着色以外に、100円の包丁と何か違う加工などされているのでしょうか?」と聞いてみた。
すると数日後……
返事が来た!
そしてそこには……
「塗装以外の加工変更はありません。しかしながら、フッ素樹脂塗装を施しておりますので、塗装を施してない包丁よりも錆びにくく、油が拭き取りやすくなっております。」
と、書いてあった……。
私が感じた「切れ味」は、この「油が拭き取りやすくなっております」の部分から感じるものだったのだろうか? それとも、「価格は倍だし、色は黒だし、200円の方が切れるに決まってる!」という思い込みから生じる錯覚だったのだろうか……?
いずれにしても、私が自信を持ってオススメするのは「200円の黒」である。私は、この手で、体験した。たしかに切れ味が違ったのだ。まちがいない!
Report:100均評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24