東京都の緊急事態宣言、および外出自粛要請が続いている。飲食業界ではテイクアウトメニューを拡充して、対応しているお店も多い。そんななか、東京・神田小川町のコーヒー専門店「眞踏珈琲店」は、自前で宅配サービスを行っている。

このお店は、店主の眞踏さんの独特のTwitter投稿で2016年に話題になった。自前で宅配対応するのは、実際どうなのだろうか? 注文すると共に、宅配対応の売り上げ状況について尋ねると、意外な事情を聞くことができた

・23区に500円でデリバリー

お店の最寄り駅は神保町か小川町で、住所で言うなら千代田区の神田小川町。2016年9月にオープンしている。眞踏さんの絶叫系ツイートが注目を集め、現在4年目を迎えている。


緊急事態宣言が発出されたのちにお店を休み、その週から宅配サービスを開始したそうだ。宅配範囲は東京23区。配達料金は500円。コーヒー(ホット・アイス)1杯500円のほか、ベイクドチーズケーキ・ガトーショコラ各500円などの販売を行っている。


・深く癒される

宅配はアルバイトスタッフが1人で行っている都合で、時間指定はできない。ただし、都合の悪い時間帯をあらかじめ伝えておくと、ある程度は対応してもらえる。私は午後の配達をお願いし、約1時間前にだいたいの到着時刻を伝えてもらい、15時すぎに商品を受け取った。注文したのは、ホットコーヒーとベイクドチーズケーキ・ガトーショコラの3点。配達料金と合わせて合計2000円である。


スタッフは玄関先で配達バッグからコーヒーポットを取り出して、それを紙コップに注いでくれた。淹れたてとはいかないが、それでも人にコーヒーを淹れてもらうのは、久しぶりのことだった。のちに飲んでみると、家で飲む安物のドリップコーヒーとは比べものにならないほど美味い。味と香りに深く癒される。

チーズケーキもガトーショコラも、素朴で優しい味だ。一口食べると、「ああ……」とため息にも似たつぶやきが漏れた


普通に利用できていた時は、ほとんど気にもしていなかったことだが、喫茶店の癒し効果は絶大なのではないだろうか? 少なくとも私にとっては、心を潤す憩いの場であったことは間違いない。ガトーショコラのほろ苦く、甘い一口に、どうしようもないほど、心を解きほぐされてしまっている


・売り上げはお店と比べてどうか

とても良い気晴らしにはなったのだが、お店の方はどうなのだろうか? 眞踏さんにストレートに、「手間はかかると思うんですけど、お店ほど売り上げがあがらないんじゃないですか?」と尋ねると、次のように答えてくれた。


眞踏さん「緊急事態宣言から1カ月はお店は休業しておりまして、店舗営業は今週(5月11日~)からなのですか、今のところ毎回デリバリーの方が売り上げが良いです」


それは意外だった。23区は結構広い。それをバイクで移動するのだから、仮に大田区から葛飾区まで移動するにしても、時間がかかる。それでも今のところはお店の売り上げを上回っているとは。ちなみに宅配サービスは週3回行っており、5月中は続ける予定とのことだ。


今はこの紙コップでガマン。外出自粛が明けたら、カウンターに座ってお店のカップで、再びコーヒーを飲みたい。真夏の暑い日に、よく冷えた水出しコーヒーを飲むのも良いだろう。それにしても、喫茶店に行くことがこんなに贅沢なことだと感じる日が来るとは、思わなかったよ……


参考リンク:眞踏珈琲店公式Twitter( @mafumicoffee
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24