ピロリんとスマホが鳴った。画面をのぞくと、地元の同級生のお母さんからSNSにメッセージが入ったようである。数年ほど直接連絡を取り合っていないハズだが、何かあったのだろうか。不安に思いながらメッセージを開封すると、少々意外なことが書かれていた。

「奈良の鹿たちが、お腹を空かせて市中をうろうろしてるようですね」

──ふむ、これは例のアレだ。新型コロナウイルスの影響で観光客が減ったことを受け、シカが餌を求めて右往左往している……という報道や噂を聞きつけたに違いない。いやはやしかし、ヤツラは本当にお腹を空かせとるんかな? 

・くつろいでいる鹿たち

観光客が減っていることは確かだ(2020年3月現在)。そうは言うものの、外国人観光客が急増する以前の奈良の冬は、もっと寂しいものだったように記憶している。今から10年ほど前だろうか。記者が学生のころ、某大寺でアルバイトをしていたのだが、冬は観光寺院であろうとも静かなものだった。

個人的には、ここ数年 人が来過ぎだっただけのような気がしている。状況把握がてら祝日に奈良公園を散歩してみたが、外国人の姿は少ないものの、日本人観光客の姿はそこそこあった。鹿たちも日光浴をしながら、くつろいでいる様子だ。

そもそも、この子たちは(一応)野生なので自分の食い扶持くらい、自分たちでどうにかできるハズである。試しに鹿せんべいを買って与えてみたところ、食欲旺盛ではあった。まあ、動物だしな……。

・鹿愛護団体に聞いてみた

考えても鹿の気持ちはわからないので、奈良の鹿愛護団体に問い合わせてみた。同団体は奈良の鹿におけるありとあらゆることを熟知しており、奈良の鹿になにかあれば駆けつけてくれる、県民にとっても心強い存在だ。

電話対応してくれた係の人によれば、観光客の数が原因で鹿がお腹を空かせていると言われている理由は不明であるという。「日ごろから奈良の鹿は自らご飯を食べますし、鹿せんべいはオヤツ感覚。お腹は十分満たされていると思います」と教えてくれたぞ。

それどころか、まわりに人が少ないためストレスフリーで、のびのびしている可能性もあるという。なるほど、あのくつろぎっぷりは、そういうことだったのだろうか。なんにせよ、鹿たちが心穏やかに過ごしているならば何よりである。

Report:K.Masami
Photo:Rocketnews24.
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