東京は浅草付近に立ち並ぶドジョウ料理屋。浅草民にとっては風景の一部みたいなもんだが、意外と入ったことがある人は少ないんじゃないだろうか

なぜなら、庶民にとっては普通に高い価格設定なのである。少なくとも、私(中澤)は、そういった理由でこれまでスルーしてきた。だが、これも経験。「1回くらい食べとくか」くらいの気持ちで入店してみたところ……見たことがないヤツが出てきたでござる

・入店

私が今回訪れたのは都営浅草線本所吾妻橋駅近くにあるドジョウ料理屋「ひら井」だ。入り口に高級割烹の雰囲気が漂うこの店。そのオーラに緊張したが、入店してみると、店主と女将さん2人で切り盛りしてるっぽい庶民的な感じだった。ほっ……。

メニューを見ると「どぜう鍋」が税込2240円で「柳川鍋」が税込2350円くらい。やはり安くはないがこれも経験だ。「どぜう鍋」を注文してみると、浅い1人用鍋が運ばれてきた。

・衝撃の事実

その鍋の中には小魚みたいなのが20匹くらい入っている。ドジョウと言えば、私は「小さいウナギ」くらいのイメージを持っていたけど、どちらかと言うとウミヘビ系じゃなくてちゃんと魚だなこれ……思てたんと違う。と、その時、私はある事実に気づいた。

あれ? 俺、ドジョウ自体見るの初めてじゃね?


衝撃だった。もう37歳だしドジョウくらい見たことがあると思っていた。だが、事実、目の前のこいつには会ったことがない

断っておくが、私は決して都会生まれではない。むしろ田舎の育ちで、小学校も中学校も水田と牛小屋の中を通学していた。チャリで10分走れば山に入り、少年時代はわりと野山を駆け巡っていたものである。

しかし、その20数年前ですら、見渡す限りの水田にも小川にもドジョウを見つけたことはない。まさか初めての出会いが鍋だとは

・食べてみた

そんなドジョウは食べてみると、骨がかなりしっかりしていた。ほとんど骨でその周りにアナゴのような身がついている感じ。

なお、『ぬき鍋(税込2350円)』という鍋もあり、こちらは女将さんによると「骨とハラワタを抜いたもの」であるそうだ。

そこで注文してみると、ドジョウが開きになっており身も大きかったので、よりドジョウの味が分かった。ふっくらした食感だがウナギほど油が乗っておらず、アナゴと白身魚の間のような感じで少し苦みがある

その苦みが甘辛い味付けと組み合わさって大人の味だ。これが江戸時代の味覚なのだろうか? 苦みとのハーモニーは、寿司にワサビをつける感覚に近いような気がした


衝撃的な「はじめまして」があった今回。しかし、その味は、田舎の風景を思い出したり江戸時代に想いを馳せたり、私に多くのことを教えてくれた。昔から連綿と親しまれてきた味。これが文化というものなのかもしれない。

・今回紹介した店舗の情報

店名 どぜう ひら井
住所 東京都墨田区吾妻橋1-7-8
営業時間 11:30~14:00、17:00~21:30
定休日 日曜日

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.