
あげぽよ。もはやこの言葉を聞いたことがない人はいないかもしれない。それほどに流行したギャル語である。でも、「あげ」はなんとなく分かるとして「ぽよ」って何だよ! どこから来たんだよ!?
ギャル文化もひと段落した後、そんな謎だけが残った。そこで「あげぽよ」ブームを作った雑誌『men’s egg YOUTH』の元編集長に聞いてみたぞ。「あげぽよ」ってどうやってできたの?
・メンズエッグ編集部の雰囲気
1995年創刊の伝説のギャル雑誌『egg(エッグ)』の派生として生まれたファッション誌『men’s egg(メンズエッグ)』。渋谷系のストリートファッションを特集して若者文化をけん引し、この雑誌から生まれた「イケメン」「秋葉系」「ギャル男」などは今や一般的に使われる言葉になっている。
そんなメンズエッグからエッグまでを渡り歩き、兄弟誌の『men’s egg YOUTH(メンズエッグ・ユース)』では編集長を務めたのが「ホワイ(現在の仕事の関係で仮名)」さん。会ってみると黒髪にメガネでめちゃくちゃ穏やかな人だった。
ホワイ元編集長「当時、編集部は真面目でオタクっぽい人が多かったですね。イケイケの人もいたけど極少数でした。ストリートスナップとかも、ナンパはできないけど仕事だったらイケるみたいなノリで。配属されたら、初日に先輩に連れられて街に出て『あの娘に声かけてこい! はいGO!! 3、2、1……』って感じで。体育会系でしたね」
──意外である。メンズエッグ系はその独特のテンションから、当時ギャル男が作っていると思っていた。なお、今回のインタビューには1996年からエッグのカメラマンをしている鈴木竜太さんも同席してくれたのだが、彼は当時の編集部の雰囲気についてこう語る。
鈴木竜太カメラマン「エッグ創刊は渋谷のギャル文化ができる前で、上の人がいなかったんだよね。だから、全員20代で、編集とかやったことない人が勢いだけで自由に作ってた。雑談してるうちに企画が生まれて。基本的に企画は全部雑談の中からだった。校閲もなかったし」
・校閲がない!?
──校閲がなかったんですか?
ホワイ元編集長「なかったですね。編集部員が1人数ページの責任を持つ感じで、『面白くなかったらそいつのせい』みたいな雰囲気でした。最終的には出来上がってきたものを編集長がパラパラ見て『OK!』って感じ」
鈴木竜太カメラマン「だから、擦り上がってきた雑誌にチ○コがモザイクなしで出ちゃってることとかあった」
ホワイ元編集長「よく見たら出てるじゃねーか!」
鈴木竜太カメラマン「さすがにそれは刷り直しだけど、その時にページ担当したヤツが『雑誌ってチ○コ出しちゃダメだったの!?』って笑」
ホワイ元編集長「校閲があったら『あげぽよ』とか絶対に生まれなかったでしょうね。校閲に出したら間違いなく消されると思う。なんだこれは意味が分からないって」
・「あげぽよ」が生まれた時のこと
──「あげぽよ」もメンズエッグが作ったんですか?
鈴木竜太カメラマン「あれはメンズエッグ・ユースだね」
──まさにホワイさんじゃないですか。あれって最初どうやって生まれたんですか?
ホワイ元編集長「あんまり覚えてないけど、かなこ(川端かなこ)がよく言ってたような……」
鈴木竜太カメラマン「いや、メンズエッグ・ユースのネームが最初だったと思うよ。あれで使われるまで、かなこ達も言ってなかったから」
ホワイ元編集長「じゃあ僕か」
鈴木竜太カメラマン「確か、当時ギャルたちの間でテンション上がる的な意味で『あげ!』って言葉が流行っててみんな言ってて。でも、2文字だと座りが悪いとかそんな感じじゃなかった?」
ホワイ元編集長「そう言えば、当時『ぽよ』って語尾につけるのも流行ってて、レイアウト的に2文字足りないから『あげ』にも『ぽよ』つけとけって感じだったような……」
・若者の間でブームになるものの見つけ方
──流行は計算からは生まれないのかもしれないですね。メンズエッグは当時若者文化をけん引していたと言っても過言ではないと思いますが、「メンズエッグ流若者のブームになるものの見つけ方」などがあれば教えてください。
鈴木竜太カメラマン「それは簡単だったね。当時、僕たちは毎日渋谷の街とかクラブに行ってたんだけど、ストリートスナップを撮ってて誰もしてないような変な格好したコがいたりする。見たことないブランドとかメイクのコが。
そのコと同じ格好のコが、次の月には3人になってることがあって。で、その次の月、つまり初めて見つけて3カ月後に9人に増えてたらこれは絶対ブームになる。ギャルの出始めもそんな感じだった。だから、エッグは3カ月後に9人になっていたものを煽ってたね。新聞とかテレビは1年遅い」
ホワイ元編集長「まあ、基本的にはクラブカルチャーでしたね。『エッグがブームを作っている』と言われたりもしましたが、どちらかと言うとファッションとかについてはいち早く見つけて取り上げる感じでした。当時クラブには本当によく行きましたねぇ」
──とのこと。2人いわく「流行はストリートに落ちている」という。ちなみに、本当に道に落ちてたら流行の終わりが近いのだとか。タピオカは道に落ちていたので今年の夏はないとの予想である。
今から考えると、常識外れでめちゃくちゃな部分もある2人の話。だが、そのエピソードの節々には勢いが感じられる。また、足で稼ぐそのスタイルは記者としても大いに勉強になった。
熱い時代、若者文化を切り開いたキーワードは勢いと足。ふとした謎の裏側に新しい文化を築いたパワーの一端を見た。
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
中澤星児






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