実家を離れて10数年。記者が親元で暮らしたのは、ほんの18年間だ。それでもなぜか、地元の味というのは忘れないものらしい。長崎県五島列島を中心とする郷土料理のひとつに『かんころもち』というものがある。記者は福岡出身であるが、よく近所のスーパーで見かけたし、もちろん買って食べていた。
『かんころもち』とは何ぞや、という方のために簡単に説明すると、サツマイモ入りの餅のことだ。専門店のソレはもちろん美味しいが、市販の切り餅を使って作ることもできる。良ければ正月に余った餅でも使って、試してみてくれよな!
・切ってチンして混ぜればOK
『かんころ』とは何とも可愛らしい響きだが、これは方言でサツマイモの切り干しのことを指す。つまり『かんころもち』は天日干しにしたサツマイモを、餅に混ぜ込んだものなのだ。一説には、もち米は高価なものだったのでイモで嵩(かさ)増しをしようとした結果生まれたともいわれている。
本来は、もち米粒から作るものだが、市販の切り餅でもソレっぽい味を再現することは可能だ。記者も実際に作ってみたが、なんとなく実家の風景が見える味にはなった。レシピは以下の通りだぞ。切ってレンチンして混ぜるだけなので、結構お手軽だ。
【材料】
・餅:4~5個
・干し芋:3~4切れ
・砂糖:ひとつまみ
・すりおろし生姜:ひとつまみ
・すりごま:適量
・片栗粉:適量
【作り方】
1. 干し芋をざく切りする。干し芋が硬い場合は、軽くレンチンする。
2. 餅をざく切りする。
3. 1と2を耐熱皿に入れ、水を大さじ1~2振りしてレンジで2分強あたためる。
4. 3に砂糖、生姜、すりごまを入れて潰す。
5. 程よく混ざればラップに片栗粉を散らし、4を乗せて長方形型に整える。
6. 冷蔵庫で30分ほど冷やし、切り分けてオーブントースターで焼く。
7. 完成
・サツマイモの甘みが最大限に引き立つ
干し芋が割と硬いので、不安な場合はあらかじめレンジで温めておくと良いだろう。また潰すときは、熱い内にサッと潰してしまおう。注意点としてはそれくらいで、手順としては単純だ。
さっそく出来立てを食べてみたところ、思わず「コレ、コレ」と呟いてしまった。なんと懐かしい味だろうか。サツマイモらしい甘みがこれでもかという程に出ていて、この干し芋は餅と出会うために生まれて来たのではないかとさえ思えて来る。
時折鼻を抜ける、生姜とゴマの香りも相性抜群だ。もっとたくさん作れば良かった……と後悔しても時すでに遅し。ペロッと食べ終えてしまったではないか。専門店のものほど整った味ではないが、 “家感” を存分に感じられて、これはこれでアリである。
九州出身の人はもちろん、これまでに『かんころもち』を食べたことがない人も、どことなく実家を思い出してしまう味であるように思う。もし家に餅が余っている人がいれば、明日のおやつにでも試しに作ってみてはいかがだろうか。
Report:K.Masami
Photo:Rocketnews24.
▼干し芋と餅が合わさった『かんころもち』
▼切って
▼チンして
▼混ぜれば……
▼完成だよー