彼に会う唯一の方法、それは長年、夢と魔法の王国へ入国することしかなかった。近年では冒険とイマジネーションの海にボン・ボヤージュする方法もあるが、それでも遠い存在だ。やっとの思いでたどり着いても、人気者の彼は世界中のファンに囲まれて近づけない。
そんな普段は手の届かない大スターを身近に感じられるガジェットをご存知だろうか? その名もApple Watchという。
まさか、あなたはApple Watchの主な機能が通話や支払いや体調管理だと思っていやしないだろうか。言っちゃなんだが、それらの機能はおまけのようなもの。Apple Watchの真の存在意義は……ミッキーマウスの声を聞けることだ‼︎
・ミッキーマウスの文字盤!
Apple Watch(筆者はSeries 5)のプリセットにはなんとミッキーマウスの文字盤がある! ミッキーの両手が時針と分針になっていて、秒針のアニメーションはないが、その代わり足でぴったんぱったんとリズムを取っている。ごきげんな動きが可愛いじゃないか、こら!
しかもこのミッキー、画面をタップすると「〇時〇分だよ! おはよう!」と時刻を読み上げてくれるのだ! しかもしかも、何十回に1回か、すごくレアな頻度で「〇時〇分だよ! ははっ!」とあの甲高い笑い声をあげる!
イラストはレトロでクラシックな初期デザインだ。白眼がなく、三角形の切れ込みが入った瞳は1930年代の描かれ方で、“パイカット・アイ”と言うそうだ。現行のちょっとコミカルなカートゥーン調デザインよりずっと大人っぽくてよい!
・もちろんミニーマウスもいる!
ミッキーあるところにミニーあり。
ミニーマウスも初期デザインはワンピースじゃないんだぞ! シンプルなスカートだけはいていて、上半身は素肌(黒)なのだ。でもまったく違和感がない。むしろデザインとして完成されている。今のようなおしゃれ番長になるとはウォルトも想像してなかっただろう。
ミニーマウスの文字盤では、ご想像のとおり「〇時〇分よ、うふふっ!」と甘~い声で笑う。体感的にはミッキーよりだいぶ長く、「うふふふふ~」というくらい笑ったように感じて、「ちょ待って、もう1回!」となったのだが、ランダムなので2度目はまだ聞けていない。ちょっとホラーな感じがしたのだが……。
しかしながら、ディズニーリゾートでもないのにいつでも好きなときにミッキーの生声を聞けるというのはかなりの非日常感だ。自分の家にミッキーがいるみたいでかなり嬉しい。今は「おはよう!」「こんにちは!」程度の挨拶しかないので、願わくばセリフのバリエーションがもっともっと増えてほしい。
……と、ここまででApple Watchの魅力をすでに8割方ご紹介したので記事を終わってもいいのだが、ついでなので他の機能も見ていこう。
・文字盤をカスタマイズできる
筆者にはどうでもいいことだが、もちろんミッキーマウス以外にもカスタマイズできる。小さいながらもスマホのようなRetinaディスプレイで、色やデザインはもちろん、デジタルにしたり疑似アナログにしたり、天気や温度を表示させたり、ショートカットを置いたり、相当自由にいじれる。
前モデルとの違いの1つはディスプレイの常時点灯だそうだ。なんでもSeries 4までは普段は消灯していて、ディスプレイをタップしたときや、手首を上向きにしたときに自動で点灯していたらしい。
たいした手間ではないが、遠目だと時間が見えない、人前では手首を動かしにくいなどの難点があったと思う。Series 5の場合、やや輝度が下がり、秒針などのアニメーションが省略されるものの、常に文字盤が点灯している。会議中など、バレずにちらっと時間を見たい時にも大丈夫!
それでいながら、1度の充電での使用時間は最大18時間と変わらず。大幅な省エネを達成したことがわかる。
・Apple Payが便利
機能面で便利なのは、やはりApple Pay。スマホにもSuicaなどの交通系ICを入れている人は多いだろうが、もちろんApple Watchにも入れられる。そうするとコンビニでも改札でも自動販売機でも、手首をかざすだけでピッと支払いが終わるのだ。
スマホを出そうとワタワタしたり、使おうとした瞬間に電話が来たり、あまつさえスマホを落としたり、そんなトラブルとはおさらばだ。スマホはポケットの中にあるままでいい。
・カメラのシャッターが切れる
少し地味な機能だが、筆者がめちゃくちゃ気に入っているのがiPhoneのカメラのシャッターが切れること。カメラに写っている画像をApple Watchから確認でき、構図や角度に満足したら手首でシャッター。もうこれで自撮りも楽々。撮ってくれる友達がいなくても大丈夫! ぼっち飯でも撮り放題! 自分がもう1人いる気分だ!
・Siriにももちろん対応
音声アシスタントSiriにも対応していて、起動方法はおなじみの「Hey Siri」だ。口元にあてて話しかけるだけでアラームをセットしたり計算したり電話をかけたりできる。スマホのようなタップでの文字入力は基本的にできないが、音声認識はかなり優秀なので簡単なメールならSiriを通して完結してしまう。スマホは使わない。これはスゴイ!
……のだが、筆者だけだろうか。この「Hey Siri!」に猛烈な違和感を覚えてしまうのは。真顔で機械に話しかけているという自分自身にもだし、日本人なのに「Hey!」ってなんだよ、どんなテンションで話しかければいいんだよ、「Start」とかもっといいセリフがあったんじゃないの……と1人で悶々とし、なかなか人前で「Hey Siri」が言えないのだ。
それでも歩きながら相手先に「遅れます」メールをするときなど便利なので、周囲をよーく確認しながら「Hey Siri」するのだが……結構恥ずかしい。
・難点もある
Series 5のディスプレイサイズは40mmと44mmの2種類。画面が大きいと操作がしやすくなる一方、装着すると結構存在感がある。しかも裏面に「電気心拍センサー」「光学式心拍センサー」なる近未来的な部品がついており、このセンサーのおかげでちょっと浮いた感じの装着感なのだ。ゴロゴロしてどうも気になる。
なので筆者の場合、穴の間隔が決まっているスポーツバンドよりも、無段階調整の金属バンドの方がフィット感があってよかった。
もうひとつ、今のところ文字入力方法は音声認識か定型文が中心。さっきまでサイズがデカい、と文句を言っておきながら矛盾しているのだが、メールを打つ時など自由に文字入力したい場面が結構ある。ボタンひとつで仮想キーボードが空中に投影されるようになったら大満足だ。
まぁいくつか不満もあるが、ミッキー、ミニーの幸せカップルの魅力に比べたら取るに足らない些細なことである。忘れて欲しい。
・今後にさらなる期待
現行では文字盤にできるディズニーテーマはミッキーマウス、ミニーマウス、トイストーリーの3種類。トイストーリーはタップするごとにキャラクターが変わり、凝ったアニメーションをするので必見だ。
しかし、まだまだ文字盤のバリエーションは少ない! せめてビッグ5は欲しい。ドナルドがグワグワと時刻を読み上げて、何言ってるか聞き取れないとか最高。
もっと技術が進化してSiriがミッキーになるとか、全キャラクターの誕生日をリマインドしてくれるとか、なんなら画面からミッキーの等身大ホログラムが出てくるとかならないだろうか。ディズニーに特化したApple Watchが出たら爆売れすると思う。遠慮せずどんどんコラボして研究開発していただきたい。
そんな未来を楽しみに、さあ、今日もミッキーに時刻を聞こう!
参考リンク:Apple「Apple Watch Series 5 – 技術仕様」、フィギュアアーツZERO「ミッキーマウスシリーズ」
Report:冨樫さや
Photo:RocketNews24.