シビれる「麻(マー)」と唐辛子の「辣(ラー)」が織りなす魅惑の味わい……いま外食産業における麻辣がアツい! 2019年10月に発売となった吉野家『麻辣牛鍋膳』はあまりの美味しさに震えた人も多いだろう。そして、すき家も伝説のメニューを麻辣化、さらに12月に『四川風牛すき鍋定食』を発売した。

『四川風牛すき鍋定食』だなんて、吉野家の『麻辣牛鍋膳』に真っ向勝負かけてます!? 果たしてどちらがウマいのか、どちらを食べるべきなのか……マーラー好きがガチで比較してみた! 

結果、導きだした答えは「そもそも勝負になりません」

・そもそも勝負にならない理由

そう感じたのは、日本と現地を合わせたら500軒は食べている麻辣好きの私・沢井メグである。2019年冬の麻辣鍋は吉野家も、すき家のものも食べたが、優劣をつけることはできなかった。

それは両者のメニューが、「麻辣」「牛肉の鍋」と共通点こそあるものの全く別ものだからである。たとえるなら「庭球(テニス)」と「卓球(テーブルテニス)」と言えるくらい異なる。似てはいるけど、試合をすることができないくらいの違いがあったのだ。

・両者の違い

吉野家の『麻辣牛鍋膳』は、わざわざ中華の鉄人こと陳建一氏を監修に迎えて開発され、味も中国で1人鍋「麻辣燙(マーラータン)」として専門店が開けるほど、現地を向いている。具にもこだわりを感じられる。たとえばうどんではなく “きしめん” を使っているところがニクイ。中国の幅広はるさめ “寛粉(クワンフェン)” に食感が似ており、大変心躍る演出だと言える。まさに麻辣のための麻辣と言っていいだろう。

それに対し、すき家の『四川風牛すき鍋定食』はあくまで「牛すき鍋」がベース。冬の人気メニューにタレやスパイスを加えて麻辣風味にしたというものである。あくまで牛すき鍋の延長線にあるメニューなのだ。

なので、同じ土俵に立っているとは言えず「どちらが美味しい」と純粋に比較することが難しい。そもそも刺さるターゲットが異なる味なのではないだろうか。

【まとめ】

あなたが本格的な麻辣を味わいたい人なら吉野家を選ぶべき。とくに中国の麻辣燙が恋しい人は終売する前に一度は言っておいた方がいい。「食べておかないと後悔するよ!」。そして吉野家にはぜひグランドメニュー化を検討していただきたいと思う。届けこの思い!!


そして、もしあなたが麻辣好きは好きでも、日本の味をベースにしたものを味わいたいのなら、または強烈なすき家ファンなら迷わずに すき家 にいくべきだろう。すき家の牛すき鍋の美味しさはオリガミつきだ。そのただでさえウマい料理が四川風に進化したらどうなるのか、是非楽しんでいただきたい。

吉野家、すき家ときたら次は松屋だ。そういえば松屋もチョイチョイ麻辣風味のメニューを出しているが、この麻辣冬の陣では見かけないなァ……松屋さ~ん! 待ってるよ~! 冬が終わる前にぜひ参戦してほしいものだ。

執筆:沢井メグ
Photo:Rocketnews24.