武器モチーフの人気や日本らしさもあってか、色々なところで日本刀を模したアイテムが売られているのを見かける。昨今の「刀剣ブーム」に関係なく、お土産物コーナーなどでは必ずと言っていいほど日本刀モチーフのアイテムが売られているはずだ。

しかし、そんな巷に溢れる「刀剣グッズ」とは一線を画すアイテムを発見した。なんと、数々の名刀を所蔵している徳川美術館が、所蔵刀剣をモデルにしたオリジナルの刀剣グッズを販売していたのだ。その中には、名刀そっくりな菓子切や、名刀イメージの和菓子まであるとか!? さっそく入手したので、ご紹介するよ〜!

・名刀で名刀を切れる?

愛知県にある徳川美術館は、大名家・尾張徳川家に伝わる宝物の数々を収蔵している美術館。名刀も数多く所蔵しているが、その中でも人気の高い5振りの名刀「鯰尾藤四郎」「後藤藤四郎」「物吉貞宗」「南泉一文字」「本作長義(以下58字略)」は徳川美術館オリジナルとして菓子切などのグッズが作られ、販売されている。

「刀 菓子切」などで検索すると、世の中には刀の形をした菓子切がたくさん存在することが分かるだろう。しかし、それらと徳川美術館の名刀菓子切が決定的に違うのは、所蔵元ならではといえる再現度の高さだ。

刀を鑑賞するときはまず全体(姿)を見て、刀の反り方や長さ、幅などにあらわれる特徴を楽しむのだが、同じように5振りの名刀菓子切を見てみると、小さく細い菓子切にもかかわらず、5振りそれぞれ姿がちゃんと異って見える。長さは分かりやすいが、反りや幅などもモデルとなった名刀の特徴をとらえて作られているのだ。

名刀菓子切の凄さは形が似せてあるだけではない。菓子切の元となった名刀の刃文に似せた模様が入っているのはもちろん、刀身に彫られている彫り物や溝(樋)まできちんと表現されているのも見どころだ。

おまけに、刀の持ち手の部分となる「茎(なかご)」の形や、柄(持ち手部分の外装)を固定するために開けられた目釘穴の数や位置まで、きちんと元の名刀に合わせて表現されている。菓子切自体が短いものだと約8.5cm、開けられている穴は小さいものだと直径約1mm……こだわりが凄い。

これらの名刀菓子切、もともと喫茶室で使用されているのみだったものを、あまりの人気に販売用として調整し売り始めたのだ。実は徳川美術館、喫茶室が密かな人気で、季節や展示に合わせて提供されるメニューが魅力の1つとなっている。人気の名刀「鯰尾藤四郎」は創作和菓子が、「本作長義」はカップケーキが提供されたことがある。

本来は徳川美術館の喫茶室でしかいただけない人気の創作和菓子「鯰尾藤四郎」が、喫茶室に先駆けてのお目見えとなる創作和菓子「後藤藤四郎」「物吉貞宗」、菓子切「後藤藤四郎」とともにセットで販売されていたので購入してきた。

まずは創作和菓子「鯰尾藤四郎」。せっかくなので、和菓子と同じく「鯰尾藤四郎」の名を持つ菓子切でいただいてみる。

「名刀で名刀を切って食べる」というなかなか倒錯的なスタイルだ。ではさっそく、淡い紫色のプルプル和菓子「鯰尾藤四郎」を菓子切「鯰尾藤四郎」で切ってみよう。いけ〜!

切ってみると、中から桃色のあんが出てきた。何味なんだろうか。食べてみると、外側の寒天が口の中でとけるように崩れ、中のあんの味がダイレクトに楽しめる。みずみずしい果物のような、少し甘酸っぱい不思議な味のあんだ。美味しい。

お次は「後藤藤四郎」。菓子切「後藤藤四郎」は全長8cmちょい、薄さも1mmほどだが、ようかん「後藤藤四郎」は刀の「後藤藤四郎」と同じくシンプルな見た目ながら、割とずっしりとしている。果たして切れるのか……こいつでどうだ!

おおっ、一刀両断! 菓子切「後藤藤四郎」、小さいながらもなかなか強い。おまけに、ようかんの「後藤藤四郎」もほんのりラズベリーとミルクの風味が楽しめる濃厚な味わいが最高。菓子切も和菓子も、名刀の名を冠しているだけのことはある。

最後は「物吉貞宗」。刀の「物吉貞宗」に「帯びて戦場へ行くと必ず勝ちを得た」という逸話があるせいか、和菓子「物吉貞宗」は淡いピンクや黄色でふわふわとした、どことなく幸福感を覚える見た目をしている。なんとなく切りづらいが、食べるために菓子切「物吉貞宗」で切らせてもらう。たぁ〜っ!

真ん中から切ってみると、可愛らしいパステルカラーの外観に反して、中からは渋い薄茶色のあんが姿を現した。食べてみると、甘さの中にキャラメルが持つ渋みをほんの少しだけ感じて美味しい。ただ甘いだけよりも、味に深みを感じる。上に乗せられたナッツの香ばしさも、いいアクセントになっている。

和菓子の「鯰尾藤四郎」「後藤藤四郎」「物吉貞宗」はそれぞれ緑茶・紅茶・コーヒーに合うようにと作られたようで、菓子切もあわせて、名刀だらけのティータイムを堪能することが出来たよ。

・2020年1月4日(土)から

今回ご紹介した菓子切は、「鯰尾藤四郎」「本作長義」がセットで税込1100円、「物吉貞宗」と「南泉一文字」がそれぞれケース付きで税込1320円で、2020年1月4日から徳川美術館内のミュージアムショップで販売されるようだ。

創作和菓子「後藤藤四郎」は2020年1月4日〜2月2日の間、名刀「後藤藤四郎」と縁のある国宝「初音の調度」が特別展示されるのにあわせ、喫茶室にて提供されるそう。

残念ながら菓子切「後藤藤四郎」の発売は未定のようだが、手元にクオリティの高い名刀グッズが欲しい、名刀で名刀を切って食べたいという方はぜひ、新年から徳川美術館へ足を運んでみてはいかがだろうか。

参照元:徳川美術館公式HP徳川美術館公式Twitter
Report:伊達彩香
Photo:RocketNews24.

▼徳川美術館の人気刀剣5振り・通称「とくびぐみ」のグッズは、菓子切以外も素敵です。

▼刀そのものだけでなく、刀袋も元にしてグッズが作られています。柄が素敵。

▼「本作長義」は折紙(鑑定書)までグッズになっています。

▼その切れ味から、不運な猫さんを切ってしまった「南泉一文字」。グッズには猫さんが描かれていることが多いです。

▼2019年の5/14~6/16、徳川美術館の喫茶室で限定提供されていたカップケーキ「本作長義」。また食べたいなぁ。