自国開催のラグビーW杯は、いよいよ決勝トーナメントの椅子が決まる佳境を迎えている。ここまで日本代表は勝ち点14でプールAの首位。先日のサモア戦では勝利した上に4トライ以上のボーナスポイントを獲得し、初のベスト8へ向けて視界良好だ。

あとはスコットランドとの試合を残すのみ。しかし、ラグビーW杯の特殊な勝ち点方式もあって進出できるかは最終戦までもつれ込んでいる。先ほどスコットランドがロシアに61−0で完勝(ボーナスポイント1)したことで日本、アイルランド、スコットランドの三つ巴の争いへ。果たして大混戦から抜け出す2カ国はどこなのだろう。

・勝てば問答無用で進出

どうすれば日本の新しい歴史の扉は開かれるのか。3戦3勝にもかかわらず混戦となっているのは、前述したようにラグビーW杯の勝ち点方式にある。詳しく知らない人のため、まずはそちらをおさらいしておこう。


勝利 → 勝ち点4
引き分け → 勝ち点2
敗戦 → 勝ち点0
4トライ以上 → 勝敗にかかわらず勝ち点1
7点差以内で敗戦 → 勝ち点1


そう、ラグビーW杯はたとえ負けたとしてもボーナスポイントとして勝ち点1がもらえる仕組みなのだ。ちなみに、日本は2015年のW杯でボーナスポイントの差で決勝トーナメント進出を逃している。今大会同様、三つ巴の争いとなって3勝1敗で並んだ結果どうなったのかというと……


1位・南アフリカ → 3勝1敗、勝ち点16(ボーナスポイント4)
2位・スコットランド → 3勝1敗、勝ち点14(ボーナスポイント2)
3位・日本 → 3勝1敗、勝ち点12(ボーナスポイント0)
4位・サモア → 1勝3敗、勝ち点6(ボーナスポイント2)
5位・アメリカ → 4敗、勝ち点0


日本はボーナスポイント0で3位。ボーナスポイントが明暗を分けたため、いかに勝ち点1が大切なのか分かるだろう。ただ、今大会の日本は現時点で2点のボーナスポイントを加算して有利な状況にある。

それでは、ある程度ボーナスポイントの大切さが予習できたところで今大会の行方を考えてみよう。なお、勝負事に絶対はないが、実力差からアイルランドが12日のサモア戦で4トライ以上で勝利して勝ち点16とすると仮定している。

まず日本は勝利か引き分けであればその時点で決勝トーナメント進出が決まる。いわゆる自力突破である。もし敗北したならばどうなるのか。実をいうとボーナスポイント次第でベスト8に進出できる。前大会同様に勝ち点1が大きなウエイトを占めることになるのだ。

・日本が負けた場合

想像したくもないが、勝ち点14の日本が敗れるとしよう。その時点でスコットランドの勝ち点は14or15。仮に4トライ以上奪われたとしたら、15にまで伸ばされることになる。しかし、それでも日本には逆転の目がある。そう、自分たちも4トライ以上&7点差以内での敗北だと勝ち点16になるため、スコットランドを上回ることができるのである。

そしてスコットランドが3トライ以下で勝った場合だと、日本はボーナスポイントを1つ加算すればOK。逆に言えば、日本が4トライ以上した時点でスコットランドは崖っぷち。まずはスコットランドの攻撃をしっかりと受け止め、着実な試合運びをしたいところだ。

・台風接近でどうなる?

なお、アイルランドが12日のサモア戦で負け、もしくは3トライ以下の引き分けに終われば、その時点で日本の決勝トーナメント進出が決まる。結果はどうあれ、目の前の敵を倒すのみ。気持ちよく決勝トーナメントへ進むためにも、日本は全勝で予選を突破したい。

運命のスコットランド戦は13日(19時45分〜)の予定ではあるものの、台風19号が日本列島に接近中で週末に関東を直撃する予想なのが気がかりだ。9日時点で詳細は発表されていないが、仮に中止となると引き分け扱いで両者に勝ち点2が与えられて日本の予選突破が決まる。

また、アイルランド vs サモアも中止となった場合、戦わずして日本は決勝トーナメント進出。現在、台風に対してさまざまな案が検討されているようだが、できることなら全ての試合が行われて歴史の扉を開いてほしい。

執筆:原田たかし
Photo:RocketNews24.
イラスト:稲葉翔子