2018年6月29日、サッカー日本代表はロシアW杯でセネガルにフェアプレーポイントで競り勝ち、決勝トーナメントへと駒を進めた。しかし、ポーランド戦の終盤、0−1とビハインドながらフェアプレーポイントで予選突破を狙う戦いをしたことで、いまだに賛否両論の声が噴出している。

結果がすべて。一方ではギャンブルすぎる、時間稼ぎはフェアプレーらしくない──。確かに歯切れの悪い予選突破だったことは間違いない。だが、西野監督のギャンブル成功を見て、こう思った人は多いのではないだろうか。西野監督、持ってるな──と。

・最悪の状態からスタート

本大会を2カ月前にしてハリルホジッチ前監督が電撃解任されたことで、火中の栗を拾うような形で代表監督に就任した西野氏。もちろん、急造で戦えるほど甘くなく、チームも無得点の試合が続いた。大会直前の親善試合・パラグアイ戦でようやく得点が生まれるも、誰の目に見ても悪い状況で日本代表は本大会へ臨むことになった。

他国に比べて実力が劣ることもあって、大会前の予想は最下位。グループステージ3戦全敗が濃厚と見られ、国内もイマイチ盛り上がりに欠けていた。しかし、いざ本大会が開幕するとどうだろう。

・大会に入ると “持ってる” 連発

初戦のコロンビア戦で開始早々から数的有利の状況で試合を進めることができ、しかも勝利まで手にしたのだ。南米の強豪相手に勝ち点3を得ただけでも “持ってる” が、第2戦のセネガル戦でも采配が的中して引き分けてみせた。

そして迎えたポーランド戦、もし失敗したら集中砲火は避けられない他力本願のギャンブルさえも西野監督はモノにしたから、なんという強運の持ち主だろう。選手たちをブーイングに晒させる勇気ある決断、コロンビアにすべてを委ねるのが最良との判断は度胸がないとできない。それを結果に繋げてみせたから、やはり持ってる監督だ。

・持ってる西野監督

主力を休ませつつ、決勝トーナメントに進出することにも成功した西野監督は、勝負師として最高の結果を出したとも言える。賛否両論の声が上がるのは分かるが、プロの世界は結果がすべて。今大会、日本がアジアで唯一決勝トーナメントに進出したチームという事実は揺るがない。

思い返せば、アトランタ五輪でブラジルを破った「マイアミの奇跡」で指揮をとったのは西野監督。次戦の相手は優勝候補のベルギーだが、番狂わせが起きる可能性はゼロではない。新しい歴史の扉を開くまであと1勝、持ってる西野監督はどんな采配を見せるのか注目したい。

執筆:原田たかし
Photo:RocketNews24.