人間はなんのために生きているのだろうか? 自分のため? それともお金のため? 答えは人それぞれだが「他人(ひと)のために生きる」ことも、とても価値あることだと個人的には思う。特に自分を慕ってくれる後輩たちには、できる限りのことをしてやりたいものだ。
私、P.K.サンジュンには「中澤星児(なかざわ せいじ)」という愛くるしさのかたまりのような後輩がいる。普段から「星児くんのためにできる事はないだろうか?」と考えているのだが、私が不甲斐ないばかりに先輩らしいことを何一つしてやれていないのが現状だ。俺にも星児くんのために出来ることがきっとある……ハズ。
・後輩を喜ばせたい
今から2年ほど前のこと。私は「いつか伊勢海老を食べてみたいという後輩に “野生のザリガニ” をご馳走したらこうなった」という記事を執筆、公開した。まさに「後輩のために出来ること」を最大限に考え抜いた結果ではあるが、残念ながら星児くんのリアクションは微妙なものであった。
だがしかし、今となっても「ザリガニはとてつもないポテンシャルを秘めている」と確信している。なぜなら食材としてのザリガニが各国で人気を博していることは言うまでもなく、得に中国で食すザリガニは甲殻類マニアが「人生TOP3に入るウマさ」とまで断言しているのだ。
「中澤は大の甲殻類好き → 私にはエビやカニを振る舞う財力はない → だが日本で野生のザリガニはほぼタダ」 ここまで出来上がっているシナリオがあるだろうか? つまり「ザリガニを美味しく食べる方法」さえ見つかれば、全員にハッピーが訪れるのだ。
・ザリガニの特徴を掴む
というわけで、やってきたのは都内の中華料理店「麻辣大学」である。2年前の件で私も反省した。調理する私がザリガニ料理を食べたことがなかったのだから。ここでしっかり食材としてのザリガニの特徴を掴み、中澤に振る舞うザリガニ料理に活かせれば言うことはない。
注文したのは「四川風ザリガニ」という鍋料理で、その名の通りザリガニを四川風の味付けで仕上げた一品である。お値段は税抜き2980円と決して安くはないが、逆に言えばザリガニがそれだけの高級食材であることに他ならない。これは期待できそうだ。
やってきたのは、真っ赤な麻辣でグツグツと煮込まれたザリガニたち……。見方によっては “マーラー地獄” もしくは “ザリガニ地獄” に見えなくもない。頭はミソを食べるためか取った状態で提供されるから、より “地獄感” が増しているのかもしれない。
・納得のウマさ
まずはさっそくそのミソからいただくと、おお……濃厚だ。ビシビシの麻辣に負けないほど濃厚なザリミソは、一口食べただけで「こりゃ好きな人が多いワケだ」と納得する豊潤な味わい。ザリガニはザリミソを味わうべし──。とくと心に刻んだ。
お次に身の方だが、こちらは味わいとしては良い。泥臭さは少しもなくプリっとした歯応えは、ザリガニではなくエビそのものである……んが、いかんせん小さすぎて殻をむくカロリーと釣り合っていない印象を受けた。身だけなら普通サイズのエビが食べたい。
そして何より驚いたのが “ダシ” である。甲殻類はダシが出やすい食材であるが、まさかここまでダシが出まくるとは……! 地獄の如く煮えたぎった麻辣にも負けないほど強いダシ。素人の私が真似できるとしたら、おそらくこのダシの部分がもっとも大きいのではなかろうか。
・ヒントは掴んだ
ズバリ、方向性は見えた──。本来ならザリミソを味わわせてやりたいところだが、火を通し過ぎるとミソの風味は半減してしまうハズ。だがしかし、ダシは煮込むだけである。鍋には約20匹のザリガニが入っていたら、少なくともそれくらいのザリガニは必要なのだろう。
というわけで、後輩を喜ばせるヒントにあふれていた初めてのザリガニ料理。果たして私の一途な想いは星児くんに伝わるのだろうか? 続編はザリガニのシーズンが終了しない近日中に公開予定だ。待っててね、星児くん☆