Twitterは日本でもっとも親しまれているSNSのひとつである。日常の出来事をつぶやいたり、情報収集や連絡手段として活用している人も多いだろう。便利なツールだ。しかし、その利便性の裏に大きな闇がひそんでいる。
例えば、裏アカウントで出会いをほのめかす詐欺が行われたり、動画や写真などをひそかに売買する人たちがいたりする。その実態を探るために、今回は1人の「売り子」の話を聞いてみた。彼らは1カ月にどれだけの売上を得ているのか?
・取り扱っているモノ
Twitterでコンテンツなどを取引する人たちの間で、販売側は「売り子」、購入側は「買い手」と呼ばれている。売り子側は女性で、買い手側は男性であることが多い。販売しているものは動画や写真だけではない。衣類や下着、靴下や靴など、身に着けるものを使用後に販売していることがほとんど。さらには、唾液や排泄物まで扱っている売り子までいる。
・際限なく生み出されるアカウント
驚くべきモノを販売しているのに、これらを販売していることがあまり明るみにならないのは、売り子のフォロワー数が総じて少ないこと。また、アカウントが凍結される頻度が一般のユーザーより多いこと。人によってはサブアカウントを運用して都合によって使い分けていることなどが、明るみにならない理由と考えられる。
買い手も裏アカウントで取引を行ってる場合があり、売り子・買い手ともに匿名性の高い状態を保って、取引を繰り返しているのだ。
・取引の相場
売り子の多くは、固定ツイート(タイムラインの1番上に固定される投稿)でメニュー表を出している。扱っているモノは人によって異なるが、1つのモノ(動画・写真なども含む)に対して2000~3000円が相場だ。下着などの “物” を取引する場合は、フリマアプリの「ラクマ」が利用されることが多い。動画や写真などの場合は、アマゾンギフト券・iTunesカードなどが用いられているようである。
・騙し合いの無法地帯
売り子・買い手ともに匿名である以上、詐欺行為も横行している。買い手が支払いに応じたのに、モノを送らない売り子。売り子から動画や写真を送信してもらったのに、決済前にアカウントブロックする買い手。裏アカウントの世界では、日夜騙し合いが繰り広げられている。
数千円程度の金額で騙し騙されている状況は、大げさにいえば地獄の様相だ。無法地帯といっても過言ではない。
・Aさんの場合
そんななかで、1人の売り子にDMを通して話を聞くことができた。彼女を仮にAさんとしよう。Aさんは、完全匿名を条件に質問に答えてくれたのである。以下はその内容の要約だ。
── 売り子としての活動期間は長いんですか?
Aさん「3年くらいでしょうか」
── これまでの取引数ってどれくらいなんですか?
Aさん「この3年で500~600件くらいだと思います。細かく数えたわけではありませんけど」
── 月にどれくらいの売上があるんですか?
Aさん「3万円くらいですね。過去に多い時で10万円程度いくこともありました」
── 買い手に騙されたことはありますか?
Aさん「売り子を始めて半年くらいは、先送り(売り子がモノを先に送ること)していたので、結構騙されました。おそらく5~6万円くらいは詐欺られたと思います。今は、買う意志があるのかどうか見分けられるようになったので、詐欺を受けることはないです」
── 質問にお答え頂き、ありがとうございます。
ちなみにAさんは専業主婦で、動画と下着の販売を行っているとのことだった。
裏アカウントの世界には、怪しい業者が紛れ込んでいる。出会い系の怪しい課金アプリの業者や、素人アカウントを装った風俗店なども存在するという。今回垣間見たのは、Twitterの闇の入り口に過ぎないかもしれない……。
Report:佐藤英典
イラスト:Rocketnews24