Twitterに潜む闇の調査は続いている。売り子たちのお金を必要とする理由はさまざまで、ある人は生活費の足しに、ある人は遊ぶお金欲しさに、下着や動画の販売を繰り返しているのだ。
10人程度話を聞いているなかで、買い手による詐欺のほかに、もうひとつ売り手を脅かす危険があることに気がついた。その危険にさらされるのは、すべての売り子ではなく、比較的売り子を始めて日の浅い人たちである。
お金欲しさに「動画買いませんか?」と売り込んでくる人たちは、無防備であるがゆえに、後々まで危険を引きずることになる。
・お小遣い欲しいです
売り子の話を聞くに当たって、私(佐藤)は自ら売り子のアカウントに声をかけることはしていない。特定のハッシュタグをつけて、話を聞きたい旨をツイートしているのみだ。謝礼をお支払いする旨をつづって投稿している訳だが、日に2~3のアカウントから自らを売り込むような形でDMが届く。
そのほとんどが「私で良ければ」といった感じの穏やかな口調で話かけてもらえるのだが、なかにはこんな人たちも。
売り子「私の動画、3000円~で買いませんか?」
売り子「初めまして、写真買いませんか?」
売り子「お小遣い欲しいです」
これらのアカウントのプロフィールを確認してみると、売り子の活動を始めて日が浅い人が多い。何か切実な事情があり、少しでも稼ぎたいという思いから、率先して売り込みをかけて来ているのだ。
・動画の転売
ただ、その心理を逆手にとる悪質な買い手がいるらしい。私はそのことを、ある売り子から聞くことができた。
売り子「スマホで撮った動画をそのまま送っちゃう子もいるんですよ。ウォーターマーク(透かし)とか入れないで渡すから転売されてしまって。自分の知らないところで売買されてたり、転売されたものが無断でネット上にアップされてしまったり。それこそ、手のつけようがなくなってしまうでしょうね」
買い手のなかには、「○○○円で動画を買います」と金額を提示して、売り子に買い取りを呼び掛けているケースもある。買い取られた動画が、その先どうなるのかを考えずに、お金欲しさに取引をしてしまうこともあるようだ。とくに、売り子を始めた人は、痛い目を見る前で警戒心が薄く、何も考えずに取引に応じてしまうらしい。
・いくら必要なのか?
この世界の相場はあってないようなものだ。売り子によって値段は違い、また規格品ではないため、難癖をつけて値引きを要求する買い手もいる。安く買いたたかれた挙句、知らない間に転売されては泣くに泣けない。
ある売り子はお金が欲しいというので、その金銭事情の一部を聞くと……。
──生活が厳しいんですか?
売り子「実家暮らしだから、生活は厳しい訳じゃないですけど」
──では、月にいくらくらい欲しいんですか?
売り子「月に2~3万円ですかね」
「買ってください」という見返りにしては、あまりにも金額が小さく、背負うリスクはあまりに大きい。
Report:佐藤英典
イラスト:Rocketnews24