スパ! 突然だが、マサイ族は鶏肉を食べない。これまでにも何度か「マサイ族は鶏肉を食べない」と書いてきたが、今回は、より詳しく「なぜマサイ族は鶏肉を食べないのか?」を大マジメに語ってみたいと思う。
まず、オレ(ルカ)は、生まれてこのかた、一度も鶏肉を食べたことがない。一度もだ。そして、オレのまわりにも鶏肉を食べる人はいない。日本のゴー(羽鳥)は「宗教上の理由か?」と聞いてきたが、答えはNOだ。
オレたちが鶏肉を食べないのは宗教関係なく、ひとことで言えば「そういう文化」だからだ。これまでも、鶏肉を食べる文化はなかった。
オレたちマサイ族は、神様(天空神エンカイ様)の家畜の飼育係として誕生したと言われている。そして、それを信じているし、誇りに思っている。オレたちが世話する動物に対しても、その存在を誇りに思っている。
だが、時には、家畜も食べる。ヤギとか、食べる。村のみんなで分け合って食べる。このまえゴーがオレの村に来た時に食べたように、ありがたく命をちょうだいしたら、みんなで分け合って食べるんだ。ここ重要。
鶏肉といえばニワトリとかだと思うんだが、とてもヤギやヒツジやウシに比べたら、図体が小さいよな。村のみんなが食べられない(分け合えない)のはもちろん、ひと家族が満腹になる食料がとれるとも思えない。
ようするに、食料にするには小さすぎる。
だから、食わない(殺さない)。
この話をゴーにすると、「1つの命に対して、恩恵を受けられる人が少ないから食べないってことかな?」と聞いていたが、言われてみればそうかも……と思いつつも、「こういう文化だからだ」というのが答えとなる。
ちなみに、勇敢にも鶏肉を食べたことのあるマサイ族に、その感想を聞いたことがあるのだが、彼は「匂いがキツい」と言っていた。平たく言えば「くさい」と感じたそうだ。くさいのか? だが、あまり興味はない。
なお、おれたちマサイ族は鶏肉を食べないが、鶏が産む卵は食べる。また、「もしも万が一、鶏肉を食べる機会があったとしたら?」という問いについての答えは、「オレは、たぶん、食べられる」だ。タブーってわけではない。単にそういう文化なのだ。そういうの、あるだろ。オレセリ!