私(佐藤)は街歩きが好きだ。大きな商業施設なんかより、少し歴史を感じさせるような古い小さな街並みを好んでいる。昭和を感じさせるようなサビついた商業看板を見つけて懐かしんだり、ウィットに富んだ店名が目に留まると、心のなかで「なんでやねん」と小さくツッコミを入れたりしている。そこに行かなくてはわからないことを見つけるのが好きだ。

最近も意外なお店を発見した。そのお店「ダ・カーポ」は、看板に「(used)CD・LP」とある。つまりレコード屋な訳だが、店前には「たい焼き」の文字もあった。レコード屋のたい焼き!? 気になったので訪ねたところ、あずきのたい焼きのしっぽにヒミツが隠されていた。

・中古レコード屋?

このお店は、JR五反田駅から徒歩約5分のところにある。私はこの日、レコードレーベルの徳間ジャパンコミュニケーションズに取材で出向いていた。その帰りに、街歩きのつもりで裏道を歩きながらふと見上げると、そこに「CD・LP」の文字。


へ~、こんなところに中古レコード屋か。ちょっと覗いてみようかな。レコードプレーヤーを持っていないけど、ジャケット見てるだけで楽しい。20代の頃は地元の中古レコード屋に頻繁に出入りしてたなあ。

店員が友達ってのもあったけど、レコード物色するのって本当に楽しい。音も聞かずにジャケットだけで購入するいわゆる「ジャケ買い」は、未知の音楽と出会えるワクワクがあるんだよなあ。もちろん、ハズレを引く可能性だってあるけど、それはそれでまたイイ。


しかし、どうも普通のレコード屋ではないらしい。なぜなら、店前に「十勝産小豆100% たい焼き」という垂れ幕がかかっている。レコードとたい焼き……。う~ん、これは素通りする訳にはいかないだろう。そう思い、店のスライドドアを開けた。


・エアロスミスの思い出

中に入ると、店の中央に大きなテーブルがあり、壁にはレコードと海外アーティストの雑貨が陳列されている。なかでもエルビス・プレスリーの商品がもっとも目立つ場所に飾られていた。


レコード棚にはエラ・フィッツジェラルドの「At the Opera House」が見える。それから下の棚にはエアロスミスの「Live Bootleg」。どちらもLP版で見るのは初めてだ。


そういや、20歳の時にエアロの曲『MAMA KIN』をコピーしてたなあ。まさかこんなところで、その思い出に出会えるとは。


・たい焼きを売り始めた理由

お店の方に聞くと、このお店は22年前に中古レコード屋として開業し、たい焼きを売り始めて20年経つのだとか。3年前にリニューアルして、今の形になったとのこと。「へ~、そうなんですねえ」なんて、能天気な返事をして済ませた私は愚かだ。店を出た後、本当はもっと深い話があることをお店の公式ページで知り、自らの愚かさを悔やんだ次第である。


お店のホームぺージ(たい焼きCafe ダ・カーポ)の「ストーリー」に記載されている内容を、端的にご紹介したい。

お店は音楽プロデュースとイベント企画を行っていた先代オーナー夫婦が、保有していたレコードの販売を行うために創業したそうだ。ご主人が突然の病で倒れられた後に、リハビリのためにたい焼き販売を開始したとのこと。そして2015年に現オーナーが店を訪ね、翌2016年にリニューアルを行い、現在のスタイルとなっている。

詳しくは、ぜひともお店のサイトを訪問して確認していただきたい。現オーナーのお店に対する思いが伝わってくるはずだ


・たい焼きはあたまから

せっかくお店に入ったので、たい焼きを食べよう。メニューを見ると、スタンダードな北海道あずきを使った「たい焼き 180円」、同じく北海道産の生乳を使った「鯛クリーム 200円」。半熟ベーコンエッグの入った変わりたい焼き「鯛玉 220円」。そして名前からは味の想像がつかない「鯛うどん 280円」、これはスパイシーなひき肉カレーが入っているとのこと。最後に季節限定と思しき「バタースイートポテト 250円」の計5種類。


メニューには「たい焼きはあたまから食べてね♪」とある。その理由は、あずきのしっぽにヒミツが隠されているからだ。


今回はそのヒミツのあるあずきとクリームをいただくことにした。


・しっぽのヒミツ

持ち帰りも可能だが、ここで音楽を聞きながら食べることに。「ジャズを聞きながらたい焼き」が今のお店のコンセプト。たまたまこの時はジャズは流れていなかったが、それでもレコードに囲まれながら、たい焼きを頬張るのは何だか心地いい。


まずはクリームの方から。手に持つと薄皮であることがわかる。中身がしっかりと詰まっており、うかつにギュッと握ると中からクリームが飛び出してきそうだ。


用心していたにも関わらず、案の定、クリームを飛び出させてしまった。仕方ない。クリームぎっしりなのだから、これを綺麗に食べるのは、むしろ無粋だ。口のなかはとろけるようなカスタードで満たされる。多少手が汚れたところで、何の不満があろうか。


そしてお待ちかねのあずきである。


こちらも同じく薄皮。先ほどの失敗を気にしながら、できるだけ丁寧に扱いつつ。頭から頬張る。


優しく繊細な餡子の食感。舌触りが滑らかで、上品な甘さに思わず頷いてしまう。そして確かめるようにして1口、2口と食べ進めていくとついにしっぽに到達。そこに隠されていたヒミツに衝撃を受けた!!


今、私はそのヒミツについて、伝えたくて仕方がない気持ちでいる。だが、この驚きはぜひ食べて感じて欲しい。食べたらわかるが、意外なモノが入っている。餡子とコレがこんなに合うとは!

45年も生きてきて、いままで一度もその発想には至らなかった。日本人なら誰でも良く知っている食材なのに、餡子とコレを合わせる和菓子や料理には1度も出会ったことがない。このセンスには脱帽だ。素晴らしい! 真相を知りたいという方はお店を訪ねてみて欲しい。とても居心地の良い空間で、時間を忘れるはずだ。


・今回訪問した店舗の情報

店名 たい焼きCafe ダ・カーポ
住所 東京都品川区東五反田1-3-10 明河ビル1F
営業時間 12:00~19:00
定休日 日祝日

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24