ラーメンを食べたことがないパキスタン人に「100%とんこつ不使用」の一蘭をおごってみた(その2)

──と、ラーメン屋突撃をお伝えする前に。パキスタン人はラーメンの存在をどれくらい知っているのだろうか? 基本的にハラール料理しか食べないため全く知らない可能性だってある。そこで聞いてみた結果……

ザビ「本とかで読んだことはある。日本と言えばラーメン!」

──とのこと。なるほど。イスラム圏でもそこまで有名なら、NO豚骨ラーメンが開発されるわけである。しかし、意外だったのは残り2人の回答。

タルハ&ウサマ「実はラーメン屋でバイトしてる……」

──申し訳なさそうに打ち明けられた。初めて見るんじゃなくてごめん的な。

とは言え、やはりバイト先のラーメンは宗教上の理由で食べられないようだ。よし、じゃあ今日は存分に食べようじゃないか! ようこそ日本へ!!

・パキスタン人留学生とラーメン

「100%とんこつ不使用」とは言え、ハラール料理ではない一蘭。チャーシューの代わりに「牛弥郎(ぎゅうやろ)」という牛バラ肉を煮込んだものがトッピングされているがこれもムスリム的にはNGらしい。しかし、オーダー用紙で具を抜くことで食べられるようにカスタマイズすることができる。

それぞれのオーダーを見てみると、みんな「牛弥郎」を抜いているが、それ以外の辛さなどの項目は好みという感じだ。ザビはどうやら辛いのが好きな様子。

・初めてのラーメン

運ばれて来たラーメンは白濁したスープが豚骨にしか見えない。これは鶏で代用しているとのことだが……細けえことはいいんだよ。ラーメンを前にしたらやることは1つ。そうだろ兄弟? 食うべし食うべし!


ところが!!


ツルーン。Oh……


ツルツルリーン。Oh……

箸を初めて使うパキスタン人たちは麺をウマく挟むことができない! そう言えば普段は手やスプーンで食べてるんだった。これは盲点である。気が回らなかった私の落ち度だ。そこで、一応の箸の握り方などを教えたがやはり難しい様子。


それにしても……


楽しそうに食べるなあ。

こっちまで楽しくなってしまう。ラーメンがいつもよりも美味しく感じるのは、どこかあっさりした後味のせいだけではあるまい。友ラーメンの真髄を教えられた気分だ。

そんなこんなで食べ終わったが、彼ら的にはラーメンの味はどうだったのだろうか? みんなに感想を聞いてみたところ……

タルハ「初めて食べたけど美味しかった! もう1回食べたい」


ウサマ「とても楽しかった。日本の料理は初めて食べた。いつもとても楽しい」


ザビ「とても美味しいです! でも、箸が難しかった。次までに練習してくる」

──美味しいは国も宗教も言葉の壁も越える。箸という思わぬ難敵がいたものの、今回も言葉以上にその表情が物語っていた。

来年の今頃には日本語学校を卒業となる彼ら。車の専門学校に入るための日本語レベル「N3(日常会話レベル)」のテストにはまだ合格できていないという。毎回受けているというが、運の良い人しか合格できないような難易度なのだとか。


立ち並ぶビル群、今日も人ゴミの新宿


遠ざかる背中が人の波間に消える


勉強にバイトに忙しい毎日


近頃は全員集合することも少なくなったという


逃げ出したいと思ったことはないのか?


パキスタン人留学生の答えはシンプルだった


──ない。夢があるから

取材協力:ホツマインターナショナルスクール
Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

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