映画のエンドロールが流れたとき、1人の観客が盛大な拍手をした。しかし1人だけだった。あとに誰も続かなかった。おそらく、あの劇場にいた多くの人は「この映画で拍手していたら恥ずかしい」と思ったのだろう。たった1人をのぞいて。そしてその1人も、「あ、すんません」という感じですぐに拍手をやめた。

──つまるところ、『翔んで埼玉』はそういう映画である。私自身、「みんな散々笑ってたのに……!」と思いながら、拍手はしなかった。「恥ずかしい」というのもあるが、「これほど、鑑賞後の拍手やスタンディングオベーションが似合わない映画はない」と思ったからだ。

つまりどういうかというと……ネタバレになってしまうから詳しく述べるのは控えたい。その代わりと言っては何だが、私が映画の鑑賞前後で見方が変わったものを3つ紹介しよう。

なお、その3つは映画内に登場するものだ。したがって、「予備知識一切ナシで映画を見たい」という人はここで引き返すことをオススメする。もうすでに映画を見た人、もしくは「ストーリーがネタバレじゃなければOK」という人だけ以下に進んでほしい。




大丈夫だろうか? 大丈夫だとして、話を進めよう。私が映画『翔んで埼玉』の鑑賞前後で見方が変わったもの3選は……以下の通りだ。


1. 高見沢俊彦
2. 小倉優子
3. 小島よしお


──なぜその3人なのかというと、単純に私がそこで最も笑ったからである。それだけの理由なのだが、今やその3人の名前を聞くと、私の頭にはあのシーンが自動的にカットインしてくる。そんな体になってしまったので、上の3つを挙げた次第だ。

・ボケが随所に仕込まれている

きっと、同作を見た人の中には「その3つよりアレの方が面白かった」というのがあることだろう。なにせ、あの映画にはいろんなボケ(?)が各所に仕込まれている。そして、そのボケは関東圏に長く住んでいる人の方がより分かるのではないか。

ちなみに私は妻と一緒に映画を見に行ったのだが、東京在住10年ちょいの私よりも、東京生まれの妻の方がよく笑っていた。しかし、関東圏在住の人しか分からないかというとそうではなく、東京と埼玉の位置関係が曖昧な人でも刺さりそうなボケが随所に仕込まれている。たとえば……

──と続けていくとネタバレになるので、このへんでやめておこう。とにかく私が言えるのは、「鑑賞後は今までのように高見沢俊彦を見ることができない」ということだ。

参考リンク:翔んで埼玉(公式サイト)
Report:和才雄一郎
Photo:(C)2019 映画「翔んで埼玉」製作委員会 / RocketNews24.

▼予告編はこちらをどうぞ

▼余談だが、埼玉には太平洋戦争の手榴弾が大量に投棄されている場所がある。これはフィクションではなく、ガチだ。