人類最大にして最強の敵は何だろう? 自然なのか、病気なのか、それとも宇宙人なのか? 私、P.K.サンジュンは、己の中にある「めんどくさい」という感情こそが、人類最大の敵だと確信している。これは古谷実先生の漫画「グリーンヒル」にあったもので、ご存じの方も多いことだろう。

言うまでもなく「めんどくさい」は強敵だ。どこからともなく現れて、悪魔のささやきで我々を誘惑する。自分自身のことでもめんどくさいのに、ましてやアカの他人にかかわることは非ッ常ォォォオオオ……にめんどくさい。例えば、未成年キッズが路上喫煙しているとしよう。あなたはこのケースで「めんどくさい」に打ち勝つことができるだろうか?

・ポケモンGOをしていたら

つい先日の日曜日ことである。コソコソと家を抜け出した私は秋葉原で「ポケモンGO」をプレイしていた。ポケモンGOはいわゆる “位置ゲー” なので、街を歩き回る必要がある。お目当てのポケモンが出たら立ち止まり、捕獲したらまた歩き回る……この繰り返しだ。

そんなときだった。私がポケモンを捕まえていると、目の前にレアポケモン……ではなく3人の少年が現れたのだ。3人は中学校3年生くらい、せいぜい高校1年生といったところだ。いずれにしても未成年の “キッズ” であることは間違いない。

そし、彼らのうち2人がタバコに火をつけた……路上喫煙禁止のエリアで。そう、このとき私は思ったのだ……


めんどくせぇぇぇぇぇええええ!!!!


実を言うと、私は「未成年者」であることはあまり気にしていなかった。今どき中学生キッズがカッコつけてタバコをふかしているなんて、むしろ微笑ましいではないか。時代遅れかよ。もちろん法律に反しているのでダメなのだが、それより気になったのは「路上喫煙」の方だ。

千代田区は路上喫煙禁止で、なんならキッズたちの足元に「路上喫煙禁止」と書いてある。めんどくさいので見て見ぬフリをするか、それとも注意すべきか……。良いか悪いかは別にして、私は幼い頃からの教育で、こうしたとき「義を見てせざるは勇無きなり」が自然と浮かぶ体になっている。マジめんどくせえ……と思いつつ、注意することにした。


私:「おい、お前ら。ここで吸うなよ。あっちに喫煙所あるからそこで吸えよ。ケムいんだよ」

少年A:「あ、はい。さーせん。あるんスカ? あっちに喫煙所あるんスカ?」

私:「あるよ。というか、あってもなくても吸っちゃいけないところでは吸っちゃいけないの

少年A:「あ、はい。……チッ、行こうぜ」

私:「チッ、じゃねーよ。おまわりさんとこ連れてったろうか」


文字にすると伝わりづらいが「はい」も、メチャメチャ挑発的な「はい」である。結局、ボス格の少年Aしか口を開かず、キッズたちにとって私は「うるせえジジイ」であり、私も「良いことしたな!」なんて清々しい気分には一切ならなかった。


それでも──。


とてもとても大きな目で見れば、私のしたことはちょっぴりだけ世の中の役に立ったのだろう。というか、そう信じたい。別にイイのだ、見ず知らずのキッズがタバコを吸おうと吸わなかろうと、私には関係ない。彼らが「あのときのキッズです!」なんて、恩返ししてくれる可能性は限りなくゼロだ。むしろ逆恨みされる可能性の方が遥かに高い。

・めんどくさいと戦う理由

ただ、ただである。自分1人で生きていくならばともかく、私は愛する人や近しい人に「あ、この人は見て見ぬフリする人なんだ」と思われるのはイヤだし、少しだけでいいから世界にとって役に立つ人間でありたい。自己満足と言われればその通りだが、そうじゃなきゃせっかく生まれてきた意味がないではないか。


もちろんリスクはある。このケースだと “ハイリスク 超ローリターン” であることは間違いない。ナイフなんか持ち出されたら馬鹿馬鹿しいでは済まないし「放っておけよ」という意見もよくわかる。……のだが、リスクだけを考えて自分ができることから目を逸らし「めんどくさい」で終わらせてしまうのは人として情けない気がしてしまうのだ。

こういう話をすると「偽善(笑)」だという人もいる。だが私は「やらない善よりやる偽善」だと思っているので気にしない。最強の敵、めんどくさいは基本的に自分にしか見えない敵であり、立ち向かえるのもまた自分だけなのだ。そしてめんどくさがらずにリングに上がり続けることで、人間力がアップしていくのだろう。

とはいえ、めんどくさいは強い。私も負けてしまうことが多々ある。それでもキッズたちに注意したように、これからもめんどくさいと戦おうと思う……大人だし。1人1人がそうすることで、より良い世界が出来ていくハズだ。でもめんどくさいは強いんだよなぁ~。

Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.

▼ポケモンGOしてただけなのに……めんどくさかった。でもこのときは「めんどくさい」に勝った。