つい先日、凍えるような夜に、福岡県の繁華街・天神周辺を歩いていたら『ツンドラ』と書いてある赤い看板が目に留まった。天神駅スグの立地にある超老舗ロシア料理店の看板だ。ロシア料理かぁ~なんて思いつつ、ポケットに手を突っ込んだまま1度は通り過ぎたのだが……

“ツンドラ” の文字に引き寄せられるようにUターン。おそらくここなら、ツンドラな寒さの夜に最適な料理が食べられるだろう。寒い時には寒い国の料理を食べるのが1番だ……たぶん。ということで、福岡市の名店『ツンドラ』に突撃してみることにした。

・ほぼ満席

ただ、自分の決断ではあるものの、いきなりロシア料理店に入るのはチョイ緊張する。2~3日後に予約をして「ロシアモード」に気持ちを切り替えてから行くのがベターかもしれない。今さらだが「たまたま発見した吉野家で牛丼を食べる」的なノリで、ロシア料理を食べても満足できるのだろうか……。

そんなこんなで気持ちの整理がつかないまま入店すると……クラシックが流れる店内はほぼ満席。案内されたテーブル席の隣には年配のご夫婦、ワインの味について語り合いながら優雅なディナータイムを楽しんでいる様子だ。マジかよ。あまりにも別世界だぞ。

・メニューはボルシチだけ分かった

なんだか「どこでもドア」を開けた先はモスクワの高級ホテルでした……みたいなフワフワした感覚が残っているが、こんな時はメニューを眺めて落ち着こう。ドキドキしながら人気料理を確認してみると……

ほほう。「ザクースカの盛合わせ(2300円)」や「スラビヤンスキー(3200円)」「ウクライナ風ボルシチ(900円)」が定番で、隠れ人気メニューが「シュニチェリ・イス・テリヤーチヌイ(2080円)」か。なるほど……ギリギリ「ボルシチ」だけ分かったのが奇跡だな。

・ロシア伝統料理を食す

魔法を唱えるように「シュニチェリ・イス・テリヤーチヌイ」と「ウクライナ風ボルシチ」を注文。ワインの話を聞きながらしばし待つと、ウクライナの郷土料理・ボルシチが湯気をたてて運ばれてきた。本場のボルシチ……いただきます。

はぁ~、めっちゃ温まりますな~。これがロシア人のおふくろの味か~。牛肉はホロッと崩れるやわらかさで、よく煮込まれた野菜の味わいも良し。「食べる輸血」と言われるビーツをはじめ、野菜モリモリの煮込み料理は、寒い夜に身体をポカポカと温めてくれますわ~。

そして、名前だけで選んだ「シュニチェリ・イス・テリヤーチヌイ」も登場。こちらデミグラスソースをかけた牛カツレツで、とても上品なオーラが漂っている。さっそく食べてみたところ、脂肪の少ない赤身肉は、肉の旨味が凝縮されていて絶品だ。

高級感のある味と香り……老舗の隠れ人気メニューはさすがとしか言いようがない。貴族気分で大満足、ルネッサ~ンスである。ああ、美味しかった。

・寒い夜に……

ツンドラな寒さの夜に導かれた老舗ロシア料理店『ツンドラ』。店内に流れるクラシック音楽、年配夫婦の会話、ロシア料理……非日常の連続に夢かと思ったが、同店は福岡市営地下鉄「天神駅」と「赤坂駅」のちょうど間くらいに実在する。寒い夜にぜひ訪れてみてほしい。

・今回ご紹介した飲食店の詳細データ

店名 ツンドラ
住所 福岡県福岡市中央区大名2-7-11
時間 11:00~22:00
休日 火曜日

Report:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.

▼テントに書いてある「ロシヤ料理」に歴史を感じる

▼ウクライナ風ボルシチ

▼シュニチェリ・イス・テリヤーチヌイ(牛肉カツレツ)

▼夢のような時間を過ごすことができた


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