コーヒーといえば、南米やアフリカなどが原産国としてよく知られている。実は日本の、それも東京でコーヒー栽培が行われていることは、あまり知られていない事実だ。

さて、そんなコーヒーをたまたま銀座で飲もうとしたところ、お店のメニューに驚愕! 入店した以上引くに引けなくなった私(佐藤)は、そのお店でもっとも安い部類に入るコーヒーを飲むことにしたのである。血迷わざるを得なかった……

・メニューを見ると……

私が思わずフラリと入ったお店は、東京・銀座の商業施設GINZA SIXの13階にある、『Grand Cru Cafe』だ。13階に喫煙所があることを知った私は、一服した後にコーヒーを飲んで帰ろうと思ったのである。まあ、銀座でコーヒーを飲むんだから1杯1000円くらいは覚悟して入店した。

お店はバーのような空間で、メニューはコーヒーしかないもよう。昼過ぎに入ると、店内にはソムリエのような雰囲気のスタッフが1名で、他の客のコーヒーを淹れているところだった。「少々お待ちください」というので、カウンターのメニューを見ると……。


値段表のようなメニューには、金額が書いてある。だが! 老眼が進行している私には、数字がよく見えない。ハズキルーペ持ってくりゃよかったーーーッ!!


コレ、いくらだ? よくよく顔を近づけて数字を見ると……。


ええーーーッ! 15万円!!!! ウソでしょ?


・ボトルキープがある

実はここのお店は、焙煎した豆をボトル売りしているのだ。ワインのように原産国と農園、銘柄によってコーヒー豆のランクが分かれており、古いものは2008年から取り扱っている。1本のボトルに焙煎豆が100グラム入っており、最大で6杯分のコーヒーを楽しむことができるとのこと。

ボトルキープ制度があり、残った豆は14日間保管してくれるそうだが、その日を過ぎると破棄されるらしい


さすがにヴィンテージの銘柄には手が出ないが、近年のものを見ると、財布の現金で何とかなりそう……。ということで、2016年のブルーマウンテン(ジャマイカ:ジュニパーピーク農園)を飲んでみることにした。


・焙煎してすぐに瓶詰め

銘柄を決めると、ボトルを持ってきてくれる。そこで豆の簡単な説明を受けつつ開栓。ボトルに入った豆は、焙煎した後にすぐに封入され、窒素ガスを詰めるそうだ。そのため、開栓時にはシャンパンのようにポン! と大きな音がする。ガスを詰めることによって、酸化を防いでいるとのことである。まさか、こんな風にコーヒーを飲む日が来るとは……。驚きだ。


しばし待つと、丹念に淹れたコーヒーを高級なカップ & ソーサーで提供してくれる。こんな風にコーヒー飲んだのは、いつぶりだろうか? 高校生くらいの時に、金持ちの友達の家へ遊びに行った時以来かも……


・わかるぞ、わかる!

そうして、「お待たせしました」と出て来たのは、コンビニでもない。コーヒーショップでもない。喫茶店でも味わうことのできない上品な代物である。


まずは香りを確かめる。カップに鼻を近づけたその瞬間に、私の頭のなかでピーン! と何かが弾けた。こ、これは!?


「昔、アラブの偉いお坊さんが……」。それに続くあの歌の言葉の意味がわかる! 恋を忘れた男がモカ・マタリを飲んで恋心を思い出すあの曲、『コーヒールンバ』が流れた! しかもテロップで歌詞まで表示されている感じ。恋を思い出した男の感覚、わかる! わかるぞッ!! 私のなかでも何かが目覚める感じがする。それが、何かはわからないけど。


軽く口に含むと、エキゾチックでなおかつエキセントリックな芳醇な味が口いっぱいに広がり、スーっと鼻から華やかな香りが抜けていくようだ。


わかる! わかるぞ!! コーヒーの味。これはまさしくブルーマウンテンだ。メニューの説明によると、この豆を育んだジェニパーピーク農園の農園主は、リチャード・シャープとジェイソン・シャープの「シャープ兄弟」だ。シャープ兄弟、聞いたことあるな。あのシャープ兄弟だろ、わかるぞ!


遠いジャマイカの地で、額に汗をしながら働くシャープ兄弟の姿が、私には見える!

……そんな気がする……。


・違いをたのしむ

このコーヒーは、冷めてからもさらに美味しくなるそうだ。だから「ゆっくりおたのしみください」とのこと。30分~1時間かけて飲むものなのだとか。そんなにゆっくり飲めない……。

少しすると、デミタスグラスでコーヒーを1杯サービスしてもらった。


何とかって農園の何とかって豆で、「大変ユニークな製法をとっているもの」と説明を受けた。たしかに、これは面白い! わかるぞ! ブルーマウンテンとは全然違って軽やかだ。重さがないというか、ふんわりしているというか。あえて日本で例えるなら、関西のノリだ。ファンキーと言っても良いだろう。


・匂いに癒される

さて、存分にコーヒーを堪能した後に、ボトルはキープせずに持ち帰ることにした。ボトル入りのコーヒー豆。栓を抜いて匂いを嗅ぐと、心の底から癒される。何か辛いことがあったら、私はこの豆の匂いで癒されるだろう。最高のヒーリングアイテムだ。


ちなみに今回のお会計は……



1万6200円でした~!


なかなか良い血迷い具合だったと自負している。これに懲りずに、前向きに血迷って行きたいと思うので、今後ともよろしくで~す!

・今回訪問した店舗の情報

店名 GrandCruCafe
住所 東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 13F
営業時間 11:00~23:00
定休日 GINZA SIXに準ずる

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24

★こちらもどうぞ → シリーズ「血迷いグルメ
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]