2018年10月26日、ロックスターゲームスから期待の新作ゲーム『レッド・デッド・リデンプション2』(以下、RDR2)が発売開始となった。同社の親会社にあたるテイクツー・インタラクティブ社が11月7日に発表したところによると、出荷本数は1700万本に達したそうだ。この数字は、前作が約8年をかけて1500万本を売り上げたのをはるかに凌いでいる。

実際にプレイしていると、これまでにないゲーム作品であることが随所に垣間見える。プレイ序盤ではあるが、このゲームの魅力について紹介したいと思う。

・最序盤の重苦しさ

ゲームの舞台は1899年のアメリカ。開拓時代が終わり、法執行官は無法者のギャングを一掃し始めた。主人公アーサー・モーガンの所属するダッチギャングは、大掛かりな強盗計画が失敗に終わり、その傷が癒えないまま逃走の日々を続けているところから、物語は始まる。


物語の序盤は、一面の雪景色。食料も限られた雪山で、寒さと飢えと戦うギャングたちの苦しみが伝わってくるようだ。実際視界は悪く、馬の足取りも重い。非常にゆっくりとしたペースでゲームは始まっていく。


・金を稼ぐ方法

雪山を降りて春が訪れると、そこからが本当のゲームの始まりだ。チャプター2の最初こそ、チュートリアルで指示通りにゲームを進行する必要があるが、その先はプレイヤーの思いのまま。できることの多さに圧倒されるレベルである。

ゲームを進めるうえで重要なのが、資金の調達だ。他のギャングの隠れ家を襲撃して金品を奪ったり、狩猟で獲った毛皮や肉を売って金を得たり、お尋ね者を捕まえて保安官につき出して賞金を稼ぐなど。これらで得た金で、キャンプの設備を充実させていく。


・正解のない、突発的イベント

もうひとつ重要な要素は、「名誉」だ。むやみに人から金を奪ったり、罪を犯すと名誉のポイントが下がる。名誉の変動は発生するイベントに影響を与えるので、注意した方が良さそうだ。しかし必ずしもポイントが高いことを求められている訳ではない。自分なりのギャングを目指せばよいのである。

名誉にかかわるイベントは、いつも突発的に起きる。たとえば、道で見知らぬ人に「ヘビにかまれた!」と助けを求められることもあるし、宿で殺人事件の隠ぺいの協力を求められることもある。これらの対応の仕方によって、名誉に影響が出るだけでなく、自らの身を危険にさらすことさえあるのだ。しかし明確な正解がないのが、このゲームの特徴。


・何を訴えようとしているのか?

先の突発的なイベントには、ほかにもナニを意味しているのかわからないものもある。たとえば、川辺で失恋を嘆く若者に遭遇して、ただ励ます場合もあるし、湖のほとりで死にかかった男から手紙を託されることもある。それらが後にどんな意味を成すのか、全然わからない。

シミュレーションゲームの多くは、答えが用意されたイベントが発生するはず。RDR2は、そのセオリーを打ち破っているのである。


・腐敗する獲物

興味深い点はこのほかにもある。たとえば、狩りの獲物はその場で皮を剥いで捌(さば)く。皮革は売り物になり、肉は食料になる。皮を剥いだ動物の描写が実に生々しい。それだけでなく、日が経つと腐敗して売値が下がったりする。長く馬に乗せていると、ハエがたかってきたりして、やたらリアルだ。

・髪もヒゲも伸びるし、太るし

獲物の腐敗もさることながら、主人公の衛生面もステータスに影響を与える。長らく入浴していないと、評価が下がったり病気になることもある。帯同している馬も汚れたままだと、ライフやスタミナに支障をきたすという。


そして、食べ過ぎると太るし、日が経つと髪もヒゲも伸びる。キャンプで自分でヒゲを剃ることもできるのだが、ナイフでヒゲを剃ると、剃り残しのブサイクなヒゲ面になるのも面白い。


・有機的な世界

ギャングの仲間も街の人も、多くは小汚い格好をしており、身体はひどく汚れていたりする。とくに牧場や農場で働く人たちの薄汚さは、見事といって良いくらいである。


設定が非常に “有機的” に作られており、人の描写がとてもリアルだ。それはセリフにも表れている。他愛のない会話が自然で、他のキャラの会話は、紋切型の決まり文句を言うだけではない。捕まえた賞金首が、アーサーに激高したり、懐柔を試みたり、泣き落としをしようとしたり。人間らしさに溢れている。


・クリアだけがゲームの目的ではない

ゲームがクリアだけを求めるものであったなら、これらリアリティや人間らしさはムダなものかもしれない。いち早くゴールを目指すためには、邪魔にしかならないからだ。だが、このゲームは容量105ギガの2枚組ディスクで、その余分な要素をふんだんに用意している。つまるところ、どっぷりとその世界にハマって、自分らしく過ごすのが醍醐味なのではないだろうか。


まだチャプター2の段階だが、私(佐藤)がもっとも驚いたのは、街のなかで処刑が行われていたことである。きっとその当時は珍しいことではなかっただろう。治安維持の見せしめで絞首刑を執行する風景。このゲームにその要素を盛り込んだのは、きっと適格な時代考証に基づき、当時の世界を忠実に再現することにこだわったためだろう。

やればやるほど、その世界観に驚かざるを得ない。前作から8年もの歳月をかけた期待が、売上に反映されているのではないだろうか。

参考リンク:レッド・デッド・リデンプション2
Report:佐藤英典
Photo:RocketNews24.