暑い……ここ本当に日本かよ! そう思わずにはいられないほど照り付ける太陽、吹き抜ける熱気。8月に入り夏もアクセル全開だ

どうせ暑いならこの熱を利用してみよう。というわけで、虫メガネで目玉焼きを焼いてみることにしたぞ

・フライパンと虫メガネを装備して外へ

本来、小さいものをよく見るための虫メガネ。だが、これで太陽光を集めて1点集中させれば、紙を焦がすほどの熱となる。あなたもきっと小学校などで習っただろう。

紙が焼けるなら、目玉焼きも焼けるんじゃね? そう思った私は、さっそくフライパンと虫メガネを携えて外に向かった

・目玉焼き日和

事務所を出た瞬間、体中を包む熱気。今まさに太陽は頂点を極め雲もない。絶好の目玉焼き日和だ。ところで、太陽って目玉焼きみたいだよね。黄身がキラキラしてウマそうである。早く目玉焼き食べたいぜ! イッツ・ショウタイム!!


念のため油を引いてから玉子を割る。黄金の黄身が静かにフライパンに落ちて揺れた。プルプルと。そんな挑発的な黄身に情け容赦なく虫メガネで太陽光を集中。ここかここがええのんか?

・焼けるのか……?

ところで、私にはさっきから1つだけ気になっていることがある。それは色だ。虫メガネで紙を焦がす時は、熱を集めやすいように黒く塗ったりする。

対して、玉子は白身が透明で、黄身は言うまでもなく黄色い。はたして、これでちゃんと焼けるのだろうか? なんにも変わらなかったらどうしよう……と、その時! さっそく玉子に変化が!!

光を集中させていた黄身の一部に白っぽい点のようなものが現れたのである! みるみる拡大していく染みのような点。マジで焼けたァァァアアア!!

・険しき道

同じ要領で点を増やしてみる。1つの点を作るのは10秒ほどでできるのだが、何せ直径が1mmくらいなので、なかなか範囲は広がらない。1つ1つ丹精込めて積み上げるように焼く。

特に、白身部分は火が通りにくいようだ。太陽光がバシバシ来ているタイミングで、良い角度で虫メガネの光を集中させないと変色しない。あ、曇った……。


そんなこんなで2時間。黄身の周りが少し白っぽくなる程度には焼くことができた。はたして、中まで火は通っているのか? また、普通の目玉焼きと比べて味に違いはあるのか? 食べてみたところ……


ウマイ

・太陽の目玉焼き

噛んだ瞬間、プチッと弾けるようにトロけ出す黄身。外は固まっているが、中はありのままの生でバッチリ住み分けられておりイクラみたいだ。その外殻のような部分と中身が口の中で混じり合うと、半熟とも少し違う不思議な食感となる。

しかも特筆すべきは、黄身から「お日さまの匂い」がすること。布団を干した後などに漂っている匂いが好きな人は多いだろう。あの匂いに似た香ばしいような風味をほんのり黄身から感じるのである。その時、セミの大合唱がひと際強くなった気がした。

首筋を流れ落ちる汗、錆びたフェンス、ひなびた通学路、安っぽい麦わら帽子の気持ち悪い感触、水滴のついた魔法瓶、カレーの匂い、そして、全てを塗りつぶすようなセミの声……遠い夏の日のまぶしすぎる太陽がここにある

ふと顔を上げると、空を切り取るように立ち並ぶビル群。ずいぶん遠くまで来てしまったものだ。あごの先から汗が落ちる。私は一体何をしていたのか? 自分に問いかけても答えは出ない。

だが、見上げた空には太陽が輝く。あの日と変わらないまぶしすぎる太陽。きっと誰だってそうさ。ガムシャラに生きているだけなのだ。いつだってあの太陽を追いかけている。追いかけても追いかけてもつかめないあの太陽を。

Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

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