そう、このところの「てんや」は大人しかった。激ウマな天丼を安価に提供するかたわら、定期的に意味不明な新メニューを発表してきた暴れん坊チェーン「てんや」。そのエクストリーム極まりない行動を、私(あひるねこ)は「ご乱心」と呼び恐れていたのだが、この半年ほどは大した乱心はなかったように思うのだ。

しかし本日2018年3月20日、ついにおれたちの「てんや」が帰ってきた。『チャーシュー三兄弟天丼』なる意味不明な新商品を引っさげ、堂々たる王の帰還である。うおおおお、この日を待っていたぞ! さあ刮目せよ皆の衆。これが、「てんや」のご乱心だァァァァアアア!!

・実はコラボ商品

我らが王をお迎えするため、私は最寄りの「てんや」にオープンと同時に駆け込んだ。しかしである。散々盛り上げておいてなんだが、すぐに私のテンションは下降することになる。実はこの『チャーシュー三兄弟天丼(税込780円)』は、映画『曇天に笑う』とのコラボ商品だったのだ。

・微妙かも?

別に映画が悪いと言っているわけではない。ただ、コラボ商品というフォーマットに、心から熱狂できない自分もいるのである。「てんや」よ、本当にそれで乱心できるのか? メニューには、『曇天に笑う』をもじって「天曇(てんどん)に笑う」と書かれている。やかましいわ。誰が上手いこと言えと。

・と見せかけ意味不明

数分後、ついにテーブルに運ばれてきたチャーシュー丼。それでは内容を確かめてみよう。まずは初登場の「目玉焼き風天ぷら」が目を引く。そして、真っ赤な扇子をイメージしたという「紅しょうがのかき揚げ」。とどめに、スペイン産豚肉を使用した「チャーシュー天」が3枚だ。むう、これはなかなか……攻めているな。

そもそも、なぜチャーシューを天ぷらにしようと思ったのか? 『曇天に笑う』の主人公である三兄弟をイメージしているらしいのだが、なぜチャーシューなのか? いいぞ、「てんや」らしいご乱心感がよく出ている。そうそう、こういう意味が分からないのを待ってたんだよ。さっそく食べてみるぞ。

・意外と悪くない

サクッ! カリッ!! チャーシュー天、食感は非常に良し。味はまあ、チャーシューを揚げたようなそのままの味なのだが、これはこれで悪くない。まったくもって悪くない。ただ、やはりチャーシューなので、少々脂っぽさが気になったかな。そこで登場するのが、紅しょうがのかき揚げである。

サクサクしながらも、紅しょうがならではのサッパリ感があってウマし。チャーシュー天の脂っこさをイイ感じに中和してくれるので、これらは交互に食べるのがいいのではないか。また、目玉焼き風天ぷらは中からトロリと黄身が出てくるのがグッドだ。その黄身を他の天ぷらにつけて食べるのがオススメである。

・熟練の技

よく考えるとスタンダードな天ぷらが一つたりとも入っていないのに、最終的にはうまい具合にまとまっていた印象の『チャーシュー三兄弟天丼』。攻めの姿勢を保ちながらもしっかりとオチをつけていく様は、まさに乱心のベテランといったところか。これは次回も大いに期待できるぞ。日本よ、おれたちの「てんや」が帰ってきた。

参考リンク:てんや「チャーシュー三兄弟天丼」
Report:あひるねこ
Photo:RocketNews24.