鹿に大仏……奈良県のイメージと言えばそんなところだろう。確かにその通りなのだが、実は奈良県においても北・奈良市にのみ言える特徴なのだ。奈良は南北に広く、県の真ん中より南はほぼ山。野生の熊や鹿や猪が出ることもめずらしくない。

とにもかくにも山深いわけであるが、そうしたこともあってか古来より修験道が盛ん。修験道の開祖とも言われる役小角(別名・役行者)ゆかりの地でもある。小角は前鬼、後鬼を従えていたことで有名だが、まんま『前鬼』『後鬼』という名の日本酒があることをご存じだろうか。

・修験道のはじまりを作った小角

そもそも修験道ってなに、小角ってだれ、という人もいるだろう。超ざっくり説明すると、修験道は山岳崇拝をもととして、さまざまな宗教を取り込みながら発展してきた日本独自の宗教。そんでもって小角はその開祖と言われてはいるが、史実は不明だ。そんな小角に仕えていたと伝わるのが前鬼と後鬼。

伝承の域を出ないが、元をたどれば前鬼後鬼は人に害をなす存在であった。改心した後、小角に仕えるようになったという。前鬼後鬼が一般的な鬼とイコールかと言われれば、それもまたちょっと違って複雑なのだが、如何せん修験道を語る上でなくてはならない存在だ。

・オールシーズン楽しめちゃう味

そして『前鬼』『後鬼』という名の日本酒の味だが、冷やして飲むと良いとのことだったので、まずは冷蔵庫で寝かせる。さすがに3本全部、1人で飲むには気合いが必要なので代表してリーダー格の「小角」を試してみたぞ。開封してみたところ、フワッと日本酒独特の良い香りが……。

キリッと冷えていることもあり一口目はスッキリ、二口目からはまろやかな甘味を楽しむことができる。気が付くとゴクゴク飲みほしてしまいそうな飲みやすさだ。夏でも冬でもオールシーズンで楽しめる味だな。

小角に前鬼に後鬼──。奈良らしさを感じられ、またその地の歴史に触れているような気分になれる日本酒だ。持ち寄りの飲み会などに持って行けば、注目を浴びること間違いない。奈良県に訪れた際に、土産にするのも良いだろう。ぜひ一度、飲んでみてくれよな。

参照元:北村酒造
Report:K.Masami
Photo:Rocketnews24.

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