死ねゴミクズ。2017年1月16日22時35分、ミエコが放った事実上のフィニッシュブローは「死ねゴミクズ」の6文字だった。この文言が送られてきた瞬間、私は大きなショックを受けた。とても大きなショックだった。具体的には、2つのショックだ。
まず一つ目は、文字通り、言葉の汚さ。いくら迷惑メール業者とはいえ、そして私が迷惑メール業者の敵であるとはいえ、たとえ顔すら見えない匿名のネット上であろうとも、人様に対して言って良いことと悪いことがある。よくもまあ人に対して「死ねゴミクズ」だなんて汚い言葉が吐けるものだと。
もうひとつのショックは、いとも簡単にミエコは「ミエコ」という役を放棄したということ。あえてプロレスに例えるならば、ちびっこたちのヒーロー的存在のマスクマンが窮地におちった……と思ったら突然マスクを脱ぎ捨て、懐からナイフを取り出しリング上で相手を刺したようなものである。まったくもって芸がない。会場、シーン……だ。
似顔絵の愛子だって、LINE乗っ取りのニセホリだって、AKBのニセこじはるだって、そして電話ではあるが架空請求のオリンチンさんだって、最後まで自分の役をまっとうしていた。騙す側ではあるが、それが「プロフェッショナル」というものだ。
いずれにせよ、その「死ねゴミクズ」だけで、私の戦意と情熱は一気に萎えた。それと同時に、動揺した。もしも将棋に例えるならば、私が「光速の寄せ」で勝利目前という時に、突然ミエコが将棋盤の上で脱糞したかのような動揺だ。その証拠に……
なんと返事したら良いのか一瞬では判断できず、(笑)としか返せなかったのである。私もプロフェッショナル失格なのかもしれないが、とっさに放てたカウンターは、情けなくも(笑)だけだった。しかし、口の悪いミエコはその直後にも……
──と畳み掛けてきたのである。ある意味ではミエコこそが「光速の寄せ」をしていたのかもしれないが、とにかくこれは、私の求める「明るく楽しい知的な戦いのエンターテイメント」ではない。私は真剣勝負のプロレスをしたいんだ。殺し合いをしてるんじゃないんだ。
その後、またも動揺して「(笑)(笑)」としか返せなかった私だったが、すぐに冷静さを取り戻し、あらためてインタビューを申し込むも、メッセージは未読のまま。残ったのは、疲れと、哀しみと、そして虚しさ。プロフェッショナルとは何かを考えさせられる一戦だった。
ちょうど、この「ミエコとの泥仕合」をした頃から、他の迷惑メール業者との戦いもスイングしなくなっていった。ミエコのような、プロ意識に欠けた詐欺師が多くなってきたからである。残念でならない。
しかし、それでも私は、地味〜に地味に、いまだ迷惑メールとのバトルは続けている。いつかまた、スイングできる勝負ができると信じて。「名勝負数え歌」ができるプロい相手が、まだリングにいることを信じて。
ちなみに余談だが、つい1カ月ほど前、ミエコのLINE IDが約1年ぶりに、私にメッセージを送ってきた。内容は「1万円を今すぐ受け取って下さい。」だった。過去のメッセージも上にあるので、間違いなくミエコのIDなのだが、ミエコの名前は……
『オフィシャルプロジェクトサービス』になっていた。ミエコは、新しくIDを取得することもなく、「屋号」だけを変え、新たな獲物を狙っている真っ最中のようだ。「ミエコさん、おぼえていますか?」と問うてみたが、未だ返事は、ない。
Report:迷惑メール評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24.
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▼既読にすらならない