カシューナッツやない! ピーナッツのが食べたいんや!! それもガツンとした辛さのヤツ!!!! 中華料理『鶏とカシューナッツ炒め(腰果鶏丁)』は日本で市民権を得つつあるが、『鶏とピーナッツ炒め(宮保鶏丁)』の方は今ひとつなのは何故なのだろう。

中国では、地方にもよるかもしれないが宮保鶏丁の方が知名度が高い印象で、多くの日本人も食べているというのに……

ということで、第8回『沢井メグのリアル中華 / 現地日本人にも超絶愛されているのに、なぜかイマイチ日本でメジャーでない中国料理』では「宮保鶏丁(ゴンバオジーディン)」を紹介したい。

・宮保鶏丁とは!

まず、宮保鶏丁とはどんな料理なのか。ひらたく言うと「鶏肉とピーナッツを炒めた辛ウマ料理」だ。プリプリお肉と香ばしいナッツ、それを「麻(マー:痺れる辛さ)」と「辣(ラー:唐辛子の辛さ)」が包みこむ白飯がススムくんな一品である。

さて、中国料理は料理名に「素材」と「調理法」の組み合わせであることが多いのだが、宮保鶏丁はちょっと違った! 「鶏丁(ジーディン)」こそ鶏肉の角切りだが、「宮保」って何!? それは料理の誕生秘話に関連しているそう。

・名前の秘密

宮保鶏丁の歴史は意外と新しく、発明者も判明しているという。作ったのは丁宝楨(てい・ほうてい)、清朝末の官僚で四川総督を務めた人物である。

丁宝楨は鶏肉とピーナッツ、そして辛いものが大好きだったそうで、「好きなモノ同士かけあわせちゃえ♪ 絶対ウマイはず♪」という発想のもと宮保鶏丁を発明! これがウマすぎ注意な出来で、全国に広まったのが始まりだという。まだ100年チョイくらいの歴史なのか! 

政治的にも活躍し、さらに激ウマ料理を発明した丁宝楨。彼を記念して、彼の料理に名誉官職名を指す「宮保」という名がつけられた……と言われている。なお「宮爆鶏丁」という表記もあるが、これは「保(バオ)」が同じ音の「爆(バオ)」に転化したものだ。爆には「熱い油で、サッと炒める」という意味の「爆炒(バオチャオ)」という意味がかけられているそうだ。

むむむ、料理ひとつひとつにもストーリーがあるものだなぁ……! 前置きが長くなってしまったが、激ウマ料理「宮保鶏丁」を作ってみよう!!

【材料】

鶏ムネ肉:200g
ピーナッツ:50g
花椒:大さじ1
唐辛子:8~10本
醤油:小さじ3
砂糖:小さじ1
酢:小さじ1/2
酒:少々
塩:少々
コショウ:少々
片栗粉:少々

【作り方】

1.鶏肉を2cm大くらいの角切りにし、酒とコショウと片栗粉をふっておく。

2.唐辛子は種を抜いて輪切りにする。これで下準備はほぼ完了だ。

3.熱したフライパンに油をしき、1の鶏肉を炒める。表面に火が通ったら一度皿に移す。

4.フライパンを火から降ろしてから再び油をしき、唐辛子と花椒を入れてから火を入れる。

5.香りが立ってきたら3の鶏肉と合わせ、醤油、砂糖、酢を入れてよく馴染ませよう!

6.ピーナッツを入れて、塩で味を整えたら完成だ。

・マジでゴハンがススムくん!

なんとインスタ映えないビジュアルであろう! しかしウマイ。プリッとしたお肉とコリッとしたナッツのコントラストが楽しい一品だ。

さらに麻(マー)と辣(ラー)が食欲を刺激し、ご飯にかけると完全にゴハンがススムくん! とんだ白飯泥棒なのである。

・10人いれば10通りの「宮保鶏丁」

これは私(沢井メグ)が通っていた大衆食堂の味を再現したものだ。この素っ気なさが現地の大衆食堂っぽくって大好きなのだが、レストラン風が好みなら、肉をモモ肉に変更し、上記のレシピにネギとオイスターソース小さじ1、そして最後に水溶き片栗粉でトロミをつけるとリッチな味わいになるぞ。

そのほかパプリカやキュウリが入る作り方もあるくらいなので、適当にアレンジして好みの味にしてもらえれば、これ幸い。

私は、日本にいながら中国風味を味わえたら、それだけでまぁまぁ幸せだ。そして、それを誰かと共有できたなら、これ以上の幸せはあと5~6個くらいしかない。それではまた次回まで! 再見、88~!! 

Report:沢井メグ
Photo:Wikimedia Commons、Rocketnews24.

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