海外でも人気がある日本のアニメや漫画。自分が好きな作品が外国の人にも同じように受け入れられていると、なんだか誇らしい気分になってくる。かつて少年ジャンプで連載されていた大ヒット忍者漫画『ナルト -NARUTO-』も、海外で非常に人気がある作品だ。
以前、こんな話を耳にした。中国に、『ナルト』のことが好きすぎるラーメン屋があるという。面白そうなのでいつか行ってみたいと思っていたら、先日ちょうど中国に行く機会があったため、実際にお店を訪れることにした。しかし、そこには目を疑う衝撃の光景が広がっていたのである。
・『ナルト』が好きすぎる中国のラーメン屋
ファンにとっては常識だが、主人公・ナルトの好物はラーメンだ。言ってみれば、ドラえもんにとってのどら焼きである。自分でラーメン屋までやっているなんて、これは相当ガチなファンに違いない。というわけで、お店がある中国四川省・成都までやってきた。
成都一の繁華街・春熙路の駅周囲は、高層ビルが立ち並んでおりまるで東京だ。駅の近くには日本でもお馴染みのイトーヨーカ堂があり、その中に噂の『ナルト』LOVEなラーメン屋が入っているらしい。エスカレーターに乗って、最上階にある飲食店フロアを目指す。
・お店を発見
建物の上階に飲食店が集まっているのは日本と同じだ。このイトーヨーカ堂も、最上階はフロア全体がレストラン街になっていた。さあ、どこだ? どこにそのラーメン屋があるんだ? しばしウロウロすると、ついに見慣れたあのキャラの姿を発見。あれは……ナルト! ナルトじゃないかってばよ!!
・愛を感じる手書きイラスト
壁にデカデカと描かれたナルトのイラスト。ポスターなどではなく、完全に手書きのファンアートだ。同人作品のようだがなかなかウマい! 『ナルト』への愛が伝わってくるようではないか。そしてその隣には、日本語で書かれた「ナルトラーメン」の文字。内陸部にある四川省でこんな光景を見るなんて、少しグッときた。
・予想の斜め上の光景
ではでは、中に入ってラーメンを食べてみるとしよう! ここまで力が入っているならラーメンにも期待できる。ナルトが好きな一楽のラーメンみたいなものを食べられるかもしれないぞ。さあ、入口はこっちかな? ニイハ~オ!
……え?
…………え?
………………店が、無ぇ。
私(あひるねこ)は思わずその場に立ち尽くした。つまり……どういうことだってばよ? ラーメン屋に入ったつもりが、そこはクレーンゲームコーナーだったのだ。場所を間違えているわけではない。その証拠に、壁にはナルトをはじめ馴染みある登場人物たちが描かれている。ああ、そうか。潰れたのか。
・悲しい世界
かつて客席だったはずのスペースからは、テーブルなどがすべて撤去されゲーム台が大量に設置されている。よく見ると、奥の方には厨房のようなものがあった。マジかよ、せっかく日本から来たのに。心なしか、手書きのキャラたちは深い哀愁をたたえているようだ。これならいっそのこと、キレイに消しておいてもらいたかったぜ……。
・あの天才も
先ほど見たナルトイラストの隣には、カカシ先生とサクラちゃんの姿もあった。カカシ先生は『イチャイチャパラダイス』を片手に微笑んでいる。なんだか、悲しくなった。ん……? キティちゃんのイラストボードで隠れているが、これ、真ん中にもう一人いないか?
見てはいけないような気もしたが、勇気を出してボードをめくってみることに。カカシ先生、サクラちゃんときたので、まさか。私は思い切って中をのぞいた。そこにはなんと……!
サスケェ……!! やはりおまえだったのか。こんなひどい扱いを受けてなお『天照』も『須佐能乎』も出さないとは、おまえも大人になったものよのぉ。きっとイタチ兄さんも、草葉の陰で喜んでいると思うぞ。
・帰るってばよ
さて、特にやることもないし、帰るとするか……。せっかくだからクレーンゲームでぬいぐるみでもゲットしていこうかな、と思いゲームコーナーに移動するも、明らかにパチモノのピカチュウを見てやめた。こうして、なぜか店内でエンドレスに流れる『ドラえもんのうた』に軽く狂気を感じつつ、私は店を後にしたのである。
Report:あひるねこ
Photo:RocketNews24.
▼たしかに、キティちゃんがあって違和感を感じたんだよな
▼ナルトの手をうまいこと使うんじゃない
▼店内のイラストはそのまま残されていた
▼明らかにパチモノのピカチュウが入ったクレーンゲーム
▼こうして、私は店を後にした……