今や我々の生活に欠かせないチャットアプリ、LINE。LINEが浸透して以来、スマホでメールをする人は激減し、通話さえもLINEで済ませてしまう人も多いことだろう。その最大の特徴は “既読” が付くことで、「既読スルー」なんて言葉も完全に定着した。
時に「既読になったのに返信がない!」などと揉め事の原因になってしまう既読機能だが、どうやら世の中には「絶対に既読を付けたくない人」もいるようだ。なんと既読にしないため『LINEは機内モードで確認する』という人も増えているようだから驚くしかない。
・既読にしたくない理由
そもそもLINEにはなぜ既読機能があるのだろう? 一説によると2011年に起きた東日本大震災の折に「安否がわからない人が、読んだかどうかだけでも確認できないか?」と考え開発されたという。つまり、“生存確認” が既読機能誕生のきっかけだったようだ。
それはさておき、基本的には便利な既読機能だが、中には「わずらわしい」と感じている人もいるようで、極端な人になると「既読にしたら負け」とさえ考えているらしい。今回は既読にしないため、LINEを機内モードで確認するAさん(20代男性)に話を聞いてみることにした。
──なぜ既読を付けたくないのでしょうか?
「いや、誤解があります。既読を付けたくないとかではないんですが、既読にしたらすぐ返事を返さなきゃいけないじゃないですか? ちょっと返事を考える時間が欲しくて、LINEは機内モードで確認してます」
──すぐに返事を返さなくてもいいのではないでしょうか?
「そうなんですけど、やっぱりすぐに返ってきた方が気持ちいいじゃないですか。あと、すぐに既読にするとがっついているというか、負けた感じがしちゃうんですよね」
──うーむ。例えばLINEの相手が彼女や家族、親しい友達でも機内モードで確認するのでしょうか?
「彼女のLINEこそ100パーセント機内モードですね。今さら彼女に良いように見られたいとかは無いんですが、リアクションのしようがない画像とかあるじゃないですか? 例えば今日食べたランチの写真とか。だから返信を考えるための時間稼ぎがしたいんです」
──なるほど……。
「ただ、弟や本当に親しい友人からのLINEは機内モードにしませんね。別に既読スルーでもOKだから。彼女以外でやるのはグループLINEですかね。既読は付けたくないんですが、みんなが何を話してるのかは気になるので」
──なぜ、グループLINEで既読を付けたくないんですか?
「なんか返信が遅かったり、流れに参加しなかったらノリが悪いと思われる気がして……」
──大変失礼な言い方かもしれませんが、ちょっと小さいというか、気にしすぎなのではないでしょうか?
「あ、それはわかってるんです。小さい男だってことは認めます。だけど気になっちゃうんですよね。例えばメッセージを読んだ後 “風呂入ってから返信しよう” と思うとするじゃないですか? それを忘れちゃって朝起きたりすると “やっちまったー!” てなるんです」
──ふーむ。ポジティブにいえば責任感が強いのかな……?
「なんか、昔付き合ってた彼女とケンカして、とてつもなく重いLINEが来たんですね。メッチャ長い。それ読んで返信を打ってたら “無視?” みたいなメッセージがバンバン来て。あれがきっかけで、LINEに既読を付けない方法を検索しましたね」
──それはちょっとわかる気がしますね。
「LINEは便利ですが早過ぎて、僕の性格的にはメールの方が向いていたのかもしれません。みみっちい行為だとはわかっていますが、これからもLINEは機内モードで確認すると思います」
率直な感想としては「気にしすぎ」この一言に尽きるが、こればかりは性格なので責めることはできない。個人的には既読スルーしてもされても気にならないが、世の中には既読を一定の責任感として捉えている人もいるようだ。
なお、機内モードにすれば着信済みのLINEは読めるが、新たなメッセージは受信できない。また、通常モードに戻した瞬間に既読が付くので「使ってみようかな?」という人は忘れないようにしよう。
「闇」とまでは言わないが、今回ご紹介した男性くらいになるとやはり健全とは言い難い。既読を付けたくない病……ある種の現代病なのかもしれない。
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.