なにやらタレントの松居一代さん(60)と、夫で俳優の船越英一郎さん(56)の夫婦関係がピンチらしい。文春オンラインによると、船越さんは松居さんに対し離婚調停を申し立てたらしく、まもなく彼女の元に『調停申立書』が届くはず……とのこと。

もう、なんというか、「離婚調停」と「調停申立書」という2つの単語を見るだけで気絶するほど大変そうなことは伝わってくるのだが、なにげに「離婚調停」が何なのかをよく分かっていない人が多いらしい。ということで、調停経験者に聞いてみた。

・6回もの離婚調停を経験した男

経験者であれば誰もが話したがらない「離婚調停とは何なのか?」という超ヘビィな質問に答えてくれたのは、過去に6回もの離婚調停を経験したボブ麻亜礼さん(37)である。あまり思い出したくない過去らしいのだが、ロケットニュース24編集部一同から熱い要望があったため、苦悶しつつも「皆の知識のために……」と話してくれた。

──そもそも離婚調停とは何なんでしょう?

ボブ「あの〜、なんつーのかな、俺もソレの専門家じゃないから間違った事あるかもしれないけど、そこはカンベンしてな。オレの専門は別だから。で、離婚調停だけども、まー、なんつーの? 決闘の立会人(たちあいにん)みたいなもんよ

──決闘の立会人ですか!

ボブ「とにかく、いろんな理由があって、夫婦双方が、もしくは夫婦のどちらかが離婚を決意した。でも、どちらかが「嫌だ」となったりする。でも離婚したい。でも話がまとまらない。そんな時に利用するのが離婚調停ってシステムな」

──裁判みたいなもんですか?

ボブ「裁判じゃない。いわば、裁判の1つ手前の段階だな。もしも離婚調停で話がまとまらなかったら、その次の段階は離婚裁判。離婚裁判を戦争に例えるならば、戦争しなくて良いように、国連を間に入れて会議する……みたいなもんよ

──ボブさんは6回も離婚調停をしたとのことですが……

ボブ「別に6回結婚したわけじゃないよ? たとえば、とある人との離婚調停があるじゃん。その1回目で話がまとまれば、それで終わりよ。でも、だいたい話は まとまらない。不成立ってやつだ。それが5回続いて、6回目で……みたいな感じよ」

──なるほど、ちょっと順序立てて詳しく教えてもらえますか?

ボブ「心が痛いから詳しくは教えねえけど、まずは離婚調停の申し立てから始まるわけだ。今回、船越さんは弁護士を通じて申し立てをしたらしいけど、とにかく申し立て先は裁判所。詳しく言えば家庭裁判所、オレは東京家庭裁判所霞ヶ関本部だった」

──裁判所なんですね……

ボブ「申立書とか、戸籍謄本とか、そういう書類を家庭裁判所に提出して申し立て完了となる。んで、第一回目の調停日とかも決めたら、相手方に「調停申立書」ってのが届く。そしたら、まさに「全面戦争、はじまりますよ」となるわけだ」

──宣戦布告みたいなもんなんですね……

ボブ「んで、調停日に裁判所に行くと、まずは待合室みたいなところに通される。わりと広い待合室で、長椅子が並んでてな、いろんな人が自分の調停が始まるのを待っている。一人で来ている人もいるし、弁護士さんと来ている人もいたりする

──そこで、戦う相手とバッタリ会っちゃう……なんてことは?

ボブ「ない。ありえない。おそらく待合室も双方で分けられていると思う。紅組、白組みたいな感じで。だからかち合うことは、ない。だって、もしも会ったら戦争だろ。ともかく、そこで待機するわけだ。すると、調停員に呼び出される」

──ボブさ〜ん、って?

ボブ「そう。自分の戦いを担当してくれる調停員は2人いる。男の人と、女の人。そのどちらかが、呼びに来る。そんで、調停室みたいな……まあ、取調室みたいな部屋に行って、自分の考えや希望などを伝えるわけだ。離婚したい、とか。したくない、とか」

──そこに戦う相手はいるんですか?

ボブ「いるわけないだろ(笑) 戦争なんだぞ? つまり、なぜ待合室で待たされているのかというと、双方が交代で調停員に陳述するわけよ。こんなことされました、とか、こんなこと言ってました、とか。時には証拠の写真とかも見せたりしつつ」

──船越さんが書き留めていたノートってのも……?

ボブ「わかんねーけど、もしかしたら離婚するための「証拠」みたいなもんが書いてあるのかもな。こういう証言とかって、日付とか大切だから。離婚のためのノートだったのか、それとも違う目的のノートなのかは、オレにはわかんねーけどな」

──なるほど。それで、お互いの陳述が終わったらどうなるんですか?

ボブ「まあよ、調停員ってのは裁判官じゃないわけ。結論の出ない戦いを、穏便に導くため……なわけ。双方の言い分を擦り寄わせたりな。でも、いくら話し合っても双方の目的が「離婚したい」「離婚したくない」だと、延々と平行線になるわけだ」

──なんかもう、消耗戦ですねそれ……

ボブ「もちろん、「どう考えても」的な理由があるなら、調停員も公平公正な判断をして、時には片方を説得するなどして、話はまとまるかもしれない。でも、そうでない場合は長引くんじゃないかなぁ。1回の調停の時間ってのも決まってるからな」

──1回の調停で話がまとまらなかったら、どうなるんですか?

ボブ「次の調停の予約をする。この時だけは、相手方も同じ部屋に来る。つまり、狭い部屋に4人いることになる。ピリピリしてるぞ。目も合わせない。次の日取りは、この日なんてどうでしょう……みたいな話を調停員がしてな。それで、つづく、だ」

──終わったら、仲良く一緒に帰るとか?

ボブ「そんなわけねえだろ! そもそも別居してたりするだろ!! 次の日取り決まったら、調停員が気を使って、「それでは、先に奥様の方から……」みたいな感じで、部屋から出したりな。接触は最小限になるように、いろいろやってくれるわけだよ」

──何度も調停して、それでもまとまらなかったら?

ボブそれでもまだ争いたいなら、いわゆる「離婚裁判」ってことになる。弁護士費用もかかるし、裁判費用を負けたほうが負担することもある。これぞ本気の戦争だよな。ちなみに、過去にこれをやって離婚を勝ち取ったのが、俳優の高嶋政伸さんな」

──ありましたねぇ……

ボブ「ちなみに離婚裁判まで行かず、離婚調停で何らかの話がまとまった時も、裁判官が出てくる。離婚調停で「こうこうこうしましょう」みたいな話がまとまるとするじゃん。そしたら、最後の最後、裁判官が調停調書ってのを作ってくれるわけ」

──誓約書みたいな?

ボブ「そうそう。この調停調書ってのは、裁判官もサイン(ハンコ)してますから、約束を破ったら大変なことになりますよ……みたいな感じでな。ともかく、これが離婚調停の大まかな流れだ。イメージ的には、夫婦喧嘩と裁判の中間って感じだな」

──なるほど。最後に、経験者として、離婚調停の感想などを。

ボブ「もう二度と体験したくねえな。二度とな。あんなにツラいことはないよ。なんなら人生ベスト3に入るほど、精神的にツラい時期だったかもしれない。きっと離婚調停を経験した人たちなら、オレと同じ事を言うと思うよ

──そんなにですか!

ボブ「そうよ。だから松居さんに対しても、そして船越さんに対しても、とても気の毒というか……お辛いでしょうが、どうか双方とも感情的にならず、冷静にがんばってください、としか言いようがないね。どんな道であれ、お互いが幸せになってほしいね。だからオレから言えるのは、グッドラック、それだけだな」

参照元:文春オンライン
執筆:GO羽鳥
協力:ボブ麻亜礼
Photo:RocketNews24.