2016年12月のクリスマス前、あるサンタクロースのお話に多くの人が涙した。当サイトでもお伝えした、サンタクロースの腕の中で息を引き取った5歳の少年のニュースだ。しかし今、複数のメディアがこの話が噓であった可能性を報じている。以下が詳細だ。
・「サンタさん、助けてくれる?」と言って息を引き取った少年
プロのサンタクロースとして活躍するエリック・シュミット=マッツェンさん。ある日彼は、地元の病院の看護師から「重症の少年がサンタクロースに会いたがっているから、今すぐ来てほしい」という電話を受けた。急いで病院に向かった彼を待っていたのは、集中治療室に入っていた5歳の少年だった。
病室で「君は1番のエルフ(注:サンタクロースの助手)。だから大丈夫」などと少年に優しく語りかけたシュミット=マッツェンさん。少年は、そんな彼に抱きつき「サンタさん、僕を助けてくれる?」と言って息を引き取った……。
・追跡調査を行ったものの、真偽が確かめられなかった
2016年12月11日頃から、このニュースがネット上を駆け巡り多くの人々の涙を誘った。だがその数日後、今度は「噓」であった可能性が一斉に伝えられた。
なぜなら最初に事態を報じたメディア『Knoxville News Sentinel』が追跡調査を行ったところ、シュミット=マッツェンさんが語った内容の正確性を証明することができなかったからだ。噓であることも立証できず、真偽のほどが分からないというのである。
・本当だと主張するシュミット=マッツェンさん
これに対して「自分の話は本当だ」と主張するシュミット=マッツェンさんは、当初の話が報じられたときから一貫して「少年の家族や看護師の身元を保護するために、詳細情報は明かせない」との立場を崩していないそうだ。
『TIME』によると、彼は現状について「利用された後、カラカラに干されているような気分だ」と話しているということだ。
・看護師や少年の家族が名乗り出る可能性も
事態にかかわった看護師や少年の家族がメディアの前で真実を話せば、彼に対する疑いは晴れるかもしれない。けれども妻シャロンさんが『WBIR 10News』に話したところによると、看護師は解雇を恐れて名乗り出たがっていないもよう。病院側の許可なく集中治療室に家族以外の人間を入室させたことが、問題になる可能性があるからだ。
また少年の家族に対してシュミット=マッツェンさんは、次のように語っている。
「彼らが名乗り出てくれれば、私も支援します。しかしこの混乱した状況を考えれば、名乗り出ないでほしい。彼らが、より傷つく恐れがあるからだ。本音を言えば助けてほしいが、救いを必要としているのは私と少年の家族のどちらだろう?」
・噓だと決まった訳ではない
ちなみにシュミット=マッツェンさんが少年と出会ったのは、今年10月となっているそう。その直後に彼は、少年との出来事について友人にメールを送っており、『WBIR 10News』もメールのタイムラインを見せてもらったとのこと。
その話をどこかから知った『Knoxville News Sentinel』が、少年との出来事をニュースにしたいとシュミット=マッツェンさんに連絡してきたのは、友人とのメールのやり取りからだいぶ時間が経った後だという。
今のところシュミット=マッツェンさんと少年の話の真偽を確かめる証拠はないようだが、これから少年の家族や看護師が声を上げる可能性は大いにある。続報を待ちたい。
参照元:Knoxville News Sentinel、TIME、WBIR 10News(英語)、Twitter @TheSun
執筆:小千谷サチ
▼多くのメディアが本件について報じている
The heartbreaking story about a terminally ill boy who died in the arms of Santa Claus could all be a sick hoax https://t.co/HrgTfUYPhh pic.twitter.com/95N2VoQ98v
— The Sun (@TheSun) December 15, 2016