先日の、プレートの変動によって失われた新アドリア大陸発見の報、めちゃくちゃバズってましたね。なんだかんだで皆さん、地底関連の新発見とかが好きなのでしょうか?

今回お伝えする地底系のニュースは、大陸発見と比べるとナノスケール。ですが、ロマンの大きさでは負けていないでしょう。アフリカの地底深くから、未知の鉱石が発見されたそうですよ。それもダイヤモンドに閉じ込められた形で。

・ゴールドシュミット石

発見したのは、カナダのアルバータ大学の研究者。LiveScienceなどの海外メディアが報じています。今回発見された新しい鉱石は、19世紀の偉大な鉱物学者 ヴィクトール・ゴールドシュミット氏にちなんでGoldschmidtite(ゴールドシュミッタイト、ゴールドシュミット石)と正式に命名されました。

ゴールドシュミット石は不透明なダークグリーン。その成分は、ニオブ、カリウムのほかに、レアアースであるランタンや、セリウムなど。American Mineralogistに掲載されている論文によると、化学式は(K,REE,Sr)(Nb,Cr)O3。研究者によると、この成分は非常にミステリアスなのだとか。

・マントル内部

その理由は、この鉱石が生成されたとされる環境にあります。冒頭で述べたとおり、ゴールドシュミット石はダイヤモンド内部に閉じ込められているところを発見されました。

そのダイヤモンドが生成されたとされるのが、南アフリカの地下170キロメートル付近のマントル内部。これ自体は不思議じゃありません。ダイヤモンドがマントル内部の幅広い深度で生成されるというのは、東北大学の研究などでも明らかになっています。

ですが、マントルを構成する主な成分はマグネシウムや鉄など。つまり、ゴールドシュミット石を構成する成分自体が、めちゃくちゃ稀(まれ)な環境なのです。しかもそれらが合わさって一つの鉱石を形成する……というのは今までの常識からすれば超ミステリー

アルバータ大学のHPでは、ゴールドシュミット石は、謎に満ちた地底深くで起きている事象を知るヒントになるかもしれないとしています。今後は更なるサンプルの捜索および、一体どうやってこのユニークな鉱石が生成されたのかの解明に努める予定だそうです。

参照元:アルバータ大学LiveScienceAmerican Mineralogist(英語)、東北大学
執筆:江川資具
Photo:WikimediaCommons