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突然だが「SAAB(サーブ)」という自動車ブランドをご存知だろうか? 実はこのSAAB、車の装備に欠かせないシートベルトや、最近多くの車で採用されるようになったヘッドライトウォッシャーなど、数々の技術を世界で最も早く標準装備したブランドなのだ。

過去には世界の先端を駆け抜けていたそのSAABが、なんと2017年に消滅することが決定したという。2012年に中国の「NEVS」に買収されたばかりだというこのSAAB。いったいなぜ消滅するに至ったのだろうか。

・1947年に誕生

「SAAB」は1937年に航空機メーカーとして設立されたスウェーデンの自動車ブランドだ。自動車部門が誕生したのは、飛行機メーカー誕生の10年後にあたる1947年で、航空機のフォルムを応用したデザインや、先端技術を取り入れた個性的な自動車がたちまち話題となり、その名が世界中に知られることとなった。

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・「ゼネラルモータース」の子会社となった後に経営が悪化

やがて、SAAB900というモデルがアメリカや日本でヒットし、順調に売上を伸ばしていると思われたが、アメリカの「ゼネラルモータース」の子会社となってから急激に経営が悪化し、リーマンショックの影響などで2011年には破産した。

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その後、2012年に中国の「NEVS」がSAABブランドを存続させるため買収したものの、最終的には「NEVS」側が電気自動車の開発に専念することを理由に消滅させる決断を下したのだ。

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・人と地球に優しい自動車ブランド

激動の末、70年の歴史に幕を閉じることとなったこのSAABだが、冒頭でお伝えした通り、今となっては当たり前のシートベルトや最近多くの車でみられるヘッドライトウォッシャーの標準装備化、さらにはアスベスト不使用のブレーキパッド、フロン不使用のエアコンなどの技術を世界で初めて採用した、『人と地球に優しい自動車ブランド』であったということを忘れてはならない。

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なお、航空機メーカーのSAABは全くの別会社であるため今も存続しており、精力的に戦闘機の開発などを行っているようだ。

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・かつてのSAABのようなブランドが必要とされている

しかし、様々な点で自動車業界をリードしていた自動車ブランドが無くなるのは、なんとも惜しいところである。排ガスや燃費の改ざんで騒がれている昨今、人と地球を守るために時代を切り開いた、かつてのSAABのようなブランドが必要とされているのではないだろうか。

参照元:産経ニュース
執筆:K.ナガハシ
Photo:Rocketnews24.

▼SAABのヒットモデル「SAAB 900(Classic)」

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▼インテリア
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▼グローブ装着時でも操作ができるようボタンが大きく作られていた
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▼運転席と助手席の間にあるキーの差し込み口
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▼ボンネットの開く方向にも特徴があった