動物の遺棄は犯罪だ。“飼い主の責任” には、最期まできちんと動物を飼うことも含まれており、飼えないからと安易に捨てるのは人間・動物側にとって何一つ良いことがない。
けれども、まだまだ動物を捨てる人は後を絶たないようだ。今回も、栃木県の宇都宮動物園の前に動物が捨てられていたのだ。ことが起こったのは2016年6月7日。動物園は Facebook に写真付きで次のようなメッセージを投稿した。
・動物園の前に捨てられていた動物
「もうやめて朝から残念です。この箱の中身、想像できますか。他の動物を守るためにはここでは保護できません。今日も保健所へ行くことに(Facebook より抜粋)」
一緒に公開された写真には、園の前に置かれた段ボールが写っている。上のフタがピッタリと閉じられているので、何が入っているかは分からない。しかし動物園はすぐに「動物遺棄」だと分かったようだ。
・過去にも同様の遺棄が
宇都宮動物園は過去にも、動物遺棄の被害にあっている。同Facebook によれば、2014年9月にも同じような段ボール箱が置かれていたそうで、箱には「子猫が入っています」という張り紙がされていたのだ。
・ネット上でも議論に「保健所に行くって……」「無責任なのは置き去りにした人」
今回の動物園の投稿は、ネット上で議論を呼んだ。たとえば、「動物園の人なのに、保健所に行くって……動物の命をなんだと思ってるんですか?」「保健所じゃなく里親を募集する方法も考えてみてください」という声。
また、「動物園は飼えなくなった動物を捨てる場所では無い」「保健所に行く動物園側が責められることじゃない。無責任なのは置き去りにした人」など、様々な声が寄せられたのだ。
たしかに保健所に連れて行かれた動物が殺処分されてしまう可能性はあるが、そもそも動物園は捨てられた動物を引き取る場所ではない。また「 “受け入れません!” と宣言することは必要だと思います。安易にペットを捨てさせないために」との意見があるように、一度保護してしまえば「あそこなら大丈夫」と捨てにくる人が増える危険もある。
・しかし翌日……
しかし次の日、事態は思わぬ方向に動くことになる。箱に入って捨てられていたのは、子猫であったことが新たな Facebook投稿で判明。そして、全ての子猫に里親が見つかったことが告知されたのだ。
「さすがネコ園長のパワーは違うね。昨日捨てられたネコたちみんな里親が見つかるなんて……でもこれは運が良かっただけですよ(Facebook より抜粋)」
里親が見つかって良かったとホッとする一方で、複雑な気持ちは拭えない。なぜなら一連の流れを知って、また動物を捨てる人が現れそうだからだ。動物園側の「これは運が良かっただけですよ」という言葉にも、“動物園をあてにするな” という気持ちが表れているようにも感じられる。
冒頭で述べたように動物の遺棄は犯罪。いかなる理由があっても、正当化されるべきではないし、動物園や動物病院に捨てれば助けてもらえると考えるのは言語道断。動物を遺棄した者には、100万円以下の罰金が科せられることになるはずだ。