伊勢市、いや三重県……いやいや中部地方を代表する大正義みやげといえば「赤福餅」であろう。なめらかな あんこと天使のほっぺのような柔らかい餅のハーモニーは絶品中の絶品! 伊勢に出かけたら赤福餅を食べない人はどうかしているとさえ感じてしまう逸品だ。だがしかし……。
赤福餅の影には隠れているものの伊勢市には、由緒正しいご当地モチがもう1つ存在するのだ。それが約200年の歴史を誇る『へんば餅』である。県外の人にはあまり馴染みのないこの へんば餅。記者は初体験だったが、これも見逃せない隠れ名物だったのでご紹介したい。
・名前の由来
まずは「へんば餅」の名前の由来について説明しよう。記者が足を運んだおはらい町店に置いてあったパンフレットによれば、『へんば餅』の「へんば」は、“返馬” と書くようだ。
「今を去る二百余年前、安永四年(1775年)に七代前の先祖が参宮街道宮川のほとりに茶店を設け餅を商い初めました。当時駕籠や三宝荒神(馬上に三つの鞍を置いたもの)で参宮する人達がこの店に憩われて、ここから馬を返し参宮されたため何時しかへんば(返馬)餅と名づけられ今日に及びました」
・奥ゆかしさに悶絶
要するに、馬を返しに立ち寄った茶店の餅だから「へんば餅」と名付けられたようで、現在では伊勢市に3店舗のお店を構えている。また、パンフレットには「美味とは申せませんが、風情ある田舎の名物としてご賞味願い上げます」と書かれており、底知れぬ奥ゆかしさを感じざるを得ない。
それはさておき、へんば餅は1人前(2個セット)160円とリーズナブルな価格で販売されていた。店頭でいただくと、ベトベトしていないツルッと系のお餅には焼き目が付いており、中にはあんこが。餅自体もほのかに甘く、焼き目の香ばしさと相まってかなりウマい。
・「さわ餅」も美味
派手さはないものの、テーブルに置いてあったら無意識に手が伸びてしまうようなシンプルな味わいで、食べれば長くこの地で愛されている理由がよくわかることだろう。また同じく名物だという「さわ餅」も、同様に美味であった。
伊勢に足を運んだら、多くの人は100%の確率で赤福を目指すだろうが、どうか「へんば餅」もお忘れのないように。フライパンで温めると美味しく復活するようなので、現地で赤福餅を食べて、お土産に「へんば餅」なんてのはいかがだろうか。
・今回ご紹介した飲食店の詳細データ
店名 へんば商店 おはらい町店
住所 三重県伊勢市宇治浦田1丁目149-1
時間 平日09:30~17:00 / 土日祝09:00~17:00
休日 月曜日(祝日、振替え休日の時は火曜日)
参考リンク:へんば餅
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.
▼おはらい町のへんば商店。
▼へんば餅とさわ餅。この2つが名物のようだ。
▼へんば餅の由来は「返馬」から来ているとのこと。
▼さわ餅も中にあんこが入っているぞ。美味。
▼伊勢市に立ち寄ったら、赤福だけじゃなく「へんば餅」もお忘れなく!