本日4月17日はハローワークの日。私(中澤)が以前失業した際、ハローワークにはガチで助けられた。会社がもみ消そうとしたパワハラの事実をハローワークが覆してくれたのだ。これからする話は、社会に出て間もない新社会人必見の内容である。
・上司Aさんのパワハラ
順を追って話そう。以前、私はとある会社で事務をしていたのだが、上司のAさんのパワハラがひどすぎて辞めることにした。Aさんは派閥を作りたがる女性で、自分が好きな人間のすることならすべてを許し、嫌いな人間のすることは重箱の隅をつつくようにダメ出しする。完全にAさんの好き嫌いのみで評価が行われていた。
狡猾(こうかつ)なのは、それをあたかも仕事の出来不出来のように会社に報告することで、Aさんは本来の仕事をすべて誰かに押し付けて、四六時中、嫌いな人のあらを探しては報告書を作っていた。
チームの1人がそんな状態で、仕事が片付くほど生優しい仕事量ではなかったので、残業してなんとか片づける毎日。しかし、評価はガンガン下がっていく。Aさんが上司になって半年ほどで、社員もアルバイトも同じ部署内の派閥外の人が全員辞めた。さながら粛清されたように。次は私の番である。
・電光石火の退職劇
最後の夜、Aさんに評価を下げる旨を伝えられた私は、同じ部署に新しくやって来た男性社員に現状を相談し、会社を辞めることになった。次の日から、Aさんは平日にもかかわらず、謎の大型連休をとっていたので、その間に総務と書類を作成することに。
・パワハラを認めない会社
辞職の書類にサインする時、総務にパワハラを報告したが辞職理由は「自己都合」になっていた。納得できなかったが、「自己都合でなければ辞職は認められない」と言われてしまったら仕方がない。一刻も早くここを去りたかった。ちなみに、会社は対外的に “風通しの良さ” をアピールしている。
・死ぬかもしれない……
もちろん、会社から届いた離職票には自己都合と書かれていた。ここで問題になるのが、失業手当の給付である。自己都合の場合、給付開始まで3カ月ほど間が空く。仕事を辞めたので収入は0、貯金もない。これ死ぬのでは……?
・一筋の光
なんとかすぐに手当てをもらう手段がないか調べたところ、私の場合だと2つの方法があることがわかった。1つは、職業訓練に通うこと。職業訓練に通えば、授業が始まるタイミングで給付が開始される。もう1つは、パワハラをハローワークで訴えて退職理由を「会社都合」にする方法だ。
・険しき会社都合への道
パワハラは多くの場合、主観の判断になりがちなため、確固たる証拠がない限り会社都合には覆りにくいと言われている。当然、私も辞めようと思って勤めていたわけではないため、証拠は押さえていなかった。
これについてハローワークの人に相談してみたところ、「パワハラを事実として確認した」という署名を同時期に在籍した人から集めて提出すると、認められる場合があるという。しかも、その署名人数は2人から有効なのだとか。マジか!? それなら友達のいない私でもいけるかもしれん!
・なんとしてもパワハラを認めさせる
というわけで、Aさんのパワハラで辞めた人を中心に署名運動を展開。署名を求めたのは初めてだったが、複雑なシステムのため説明するのが大変だった。
会社に訴えるわけではない旨、すべてハローワーク内の処理である旨をかなり丁寧に説明しても伝わらない人には伝わらない。結局は私を信頼できるかどうかの話である。何度も同じ確認を繰り返す人もいれば1発OKの人もいる。踏み絵感が凄いぞコレ。こうして信頼できる数人の署名をハローワークに提出した。
・風通しの良い会社?
それから2週間。待てど暮らせどハローワークから連絡が来ない。一体どういうことだ? このままだと死んでしまう……。状況を確認するため連絡してみると、会社を調査しているが、返事が来ないという。え、それってこのまま認められないってこと……? っていうか、風通し。
結局、会社からは連絡なし。しかし、署名からパワハラがあったことは間違いないため、ハローワークの特別措置として退職理由が「会社都合」に覆った。手当が出ることも嬉しかったが、何より嬉しかったのは、パワハラが事実であることを社会が認めてくれたことだった。あの状況はやっぱり普通ではなかったのだ。
・あの時パワハラを我慢していたら……
──今になって思う。「あの時、パワハラを我慢していたらどうなっていただろう」と。きっと最低な未来に繋がっていたに違いない。人生とは本当に予測できないことの連続だ。そして、社会は思っているよりもずっとセーフティーネットがしっかりしている。
これを読んでいる人の中には、この4月から、新社会人となった人もいるだろう。上司の態度がパワハラかも? と思った場合、証拠はキッチリ押さえておくことをオススメしたい。会社都合ならば1年未満でも90日の受給が受けられるぞ。自分を無理やり納得させる前に、社会のシステムをウマく利用しよう。
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.