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中国と言えば、パクリ大国にして、訪れる外国人にとってはボッタクリ大国でもある。外国人とバレた瞬間、3倍近くふっかけられても不思議ではない。男性なら「ネーチャン、カワイイ、ボインネ~」とカタコトの日本語で誘われ、ついていったが最後、とんでもない額を請求されることも。

そんな中国で新手のボッタクリ妖怪が話題になっている。最近、日本人学生がお茶を飲んだだけで2100元(約3万5000円)もボラれるという被害に遭ってしまったのだ。その正体は、数年前から上海を跋扈(ばっこ)している『写真撮って妖怪』である。

・中国の『写真撮って妖怪』

『写真撮って妖怪』の手口は単純。しかし、こちらの詐欺に対する警戒心をうまくスリ抜けた手法であると言えるだろう。これまでのボッタクリ妖怪は、全身全霊でモノを売りつけようというタイプが多かったが、『写真撮って妖怪』はこう切り出すのだ。

「すみませぇ~ん、ちょっと写真撮ってもらえませんか~?」

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・日本人が3万5000円ぼったくられる被害

中国メディアによると、事件が起こったのは2016年4月6日のこと。2名の日本人学生が上海の観光地「豫園」を訪れたそうだ。そこで、観光客風の中国人男女3人に、3人の記念写真を撮りたいのでシャッターを押してほしいとお願いされたという。

もちろん、日本人学生は3人の写真を撮ってあげたそう。観光地だもの、誰かに写真をお願いされるのは自然なことだ。そして、しばしおしゃべりをしたあと、中国人グループにお茶に誘われ、2人は豫園の茶館に連れられたのだが……その茶館で、ちょっとお茶を飲んだだけで2100元(約3万5000円)も請求されたというのだ!

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・「お茶1口800円だった」という地獄のような設定

2100元!? 物価が激高の上海の観光地でも、お茶なら1杯50元(約850円)くらいが相場でしょ!? んなアホな!!

そこで、告げられたのは「お茶は1口48元(約800円)」という地獄のような価格設定。結局、2人は持ち金1000元(約1万7000円)全てをかっぱらわれてしまったという。これはひどい……。

・私も上海で遭遇した

実は、私・沢井メグも2年前に上海の観光地・バンドで『写真撮って妖怪』に遭遇したことがある。手口はほぼ同じ。丁寧な物腰で、写真を撮ってくれないか、と近づき、撮ってあげると、「私たち、出張で山東省から来たの~。上海は初めてなのよ。で、あなたはどこから来たの?」と、マシンガントークが発動した。

写真を撮ってほしいだけなのに、私の故郷なんて関係ないでしょ? おかしい。とりあえず、テキトーに合わせて話していると……「これから茶館に行くんだけど、一緒に行かない?」と誘ってきたのだ。こ、これは……! パターン青。父さん、妖怪です!! 

「私、これから上海人の親友と約束があるから」と、旅行者ではあるが、現地に濃いめのコネクションがある旨をチラつかせると「わかったわ~。じゃあね!」と爽やかに去っていった。……が、しばらくその場をウロウロし、また別の人に話しかけていた。あいつら、妖怪ですわ……。

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・親切心と「現地の人と交流したい」という心につけこむ

この『写真撮って妖怪』は人の親切心と、「旅先で交流したいナ♪」という心に巧みにつけこんだ詐欺だ。中国ボッタクリ妖怪に詳しい “赤ふん保存協会” 会長ショーロンポー・アツイ氏によると、この妖怪は2010年を境に上海の繁華街で一気に急増したそうだ。比較的新しい部類の妖怪のようだ。

ちなみに、中国メディアによると、上述の日本人学生2名は、被害に遭った後、警察に通報。捜査が入り、とられたお金は戻ってきたとのこと。それは良かったのだが、お金の問題だけではないだろう。

旅人をお茶やゴハンに誘う人のなかには、100人に1人くらいはいい人もいるかもしれない。しかし、数多(あまた)の妖怪のなかからその1人を見抜く自信がないなら、また騙されてもいいと思っていないのなら、ついていかないことが賢明だと言える。

参照元:新浪財経(中国語)
執筆:沢井メグ
Photo:Rocketnews24.

▼旅先の交流は楽しいものだけど……ボッタクリの可能性もあるので十分に気を付けよう
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