雲仙普賢岳や島原の乱で有名な長崎県の島原半島。皆さんはこの地域で正月などに食べる郷土料理をご存知だろうか。その名も「具雑煮」。読んでそのまま具だくさんのお雑煮だ。
1637年の島原の乱で総大将・天草四郎が城に籠城した際、栄養を補給し、約3カ月も戦ったのが始まりとされている具雑煮。そしてそんな古くから伝わる料理を1813年から約200年も提供しているのが、この度訪れた「姫松屋」である。
・市長オススメ
なぜ姫松屋を知ることになったのか。その理由はズバリ島原市長からのオススメである。ふるさと納税の懇談会で島原市を訪れ、その際にオススメの料理を聞いたところ、このお店の名前が出てきたのだ。
市長が言うには、どこで食べても島原の料理はおいしいが、中でも姫松屋は老舗な上、目の前に島原城がある絶好の観光スポットとのこと。まずは島原城で歴史を学び、お腹が空いたところでお店を訪れることができるのもオススメだそうだ。
・ホッとする優しい味
ということで実際に足を運んでみた。姫松屋には普通の定食もあるが、もちろん具雑煮(980円)を注文。土鍋で出てくるのが、これまた風情がある。フタを取り、まずツユを飲んでみたところ……非常にあっさりしていて最高においしい。
カツオ出汁をベースに醤油を加えたシンプルなものだそうだが、自然豊かな島原の水を使っているからだろうか。体の芯に染み渡るような味が舌を通して伝わってくるのを感じる。
また、具だくさんということでシロナ、かまぼこ、アナゴ、鶏肉など全13種類の地元食材も忘れてはいけない。さっそく、パクッと食べてみると……うん! どれも出汁がよく染みていて、なんだかホッとするような味だ。ヘルシーな一品かと思いきや、餅も入っているのでパワーも出るところもまたいい。
個人的には、お雑煮というとさっぱりしすぎて味がないイメージがあったが、島原の具雑煮は真逆とも言える絶品。常日頃から食べられる島原の人たちを羨ましくも思った。具雑煮は正月に食べる慣習もあるそうだが、新年を迎えた新鮮な気持ちで食べるとさらにおいしいことは間違いない。
・島原を訪れたら食べるべき一品
その土地を知るためには、まず料理を食べてみるといいと言うが、島原市ではまさにそんな感覚を覚えた。もし島原市を訪れたら、天草四郎も食べていたのかァ……なんて歴史を感じつつ、ぜひとも具雑煮を味わってみてはいかがだろう。
・今回ご紹介した飲食店の詳細データ
店名 姫松屋
住所 長崎県島原市城内1丁目1208
時間 11:00〜19:00(LO18:30)
休日 第2火曜日
Report:原田たかし
Photo:RocketNews24.
▼お店の外観
▼向かいには島原城
▼こちらは具雑煮のメニュー
▼キターッ!
▼本当に具だくさん!
▼餅が入っているのでパワーが出る