raindelay

「クールジャパン」が世界を席巻していると言われるものの、残念ながらラウドミュージックでは日本の影響力は限られている。しかしラトビアの神道メタル「黄泉」のように、妙な形で日本に何かしらの憧れを抱いてしまっているメタルバンドは、世界各地に存在するようだ。

ラトビアと同じぐらい、日本との強い結び付きを想像することができないセルビアのベオグラードに、Rain Delayというメタルコアバンドがいる。彼らの代表曲がなんと「Shiseido」。そう、『資生堂』だ。

・日本語っぽいけど何を言っているのか……

音楽クリップを見てみると、まず日の丸が掲げられたスタジオの様子が目に飛び込んでくる。その後、柔道着を着た人たちが登場。そしてハスキー声の女性ボーカルがどうやら日本語らしき歌詞を歌い始めるのだ。しかし「僕ら」とか「さまよう」「どうするか」というような日本語の言葉が聴こえてくるのだが、全体としては何を言っているか何度聴いてもよく分からない。

・なぜ『資生堂』?

その後、曲の雰囲気はガラっと変わり、疾走感のあるモッシュパートが続く。結局、そのままエンディングに突入するのだが、この曲がなぜ『資生堂』なのか全く不明だ。以前、資生堂がセルビアやアルバニアなどバルカン諸国に進出したと報じられた事があるが、結局、この曲から資生堂に関連する要素を見出すのは難しく、謎は深まるばかり。

調査を進めてみたところ、この曲の歌詞が出てきた。女性ボーカルが歌っている日本語の部分は以下の通りである。

「ツァイトガイスト見たばかりの
僕らをさまよわせてほしいの
秘密な世活はどうするか Zeitgeist!
自分を私ほど守るように約束して」(Rain Delay『Shiseido』より引用)

確かに動画を見ながら歌詞を見てみると発音は合致する。しかし意味は全く分からない。「Zeitgeist!」とは「時代精神」を意味するドイツ語で、同名の映画があるようだが、むしろ謎がさらに深まるばかり。このバンドのFacebookを細かく見てみたが、この曲に関する詳しい説明はなかった。

・さまよわ?

なお他にも、「Kyoto Daylight Recon」という明らかに京都を意味する曲も発表しており、海外で有名な楽曲配信サイト「Bandcamp」で歌詞も載せているのだが、「僕らをさまよわ」と言った日本語が散見される。しかしこの曲も全体としては全く意味不明の歌詞だ。単に日本語の響きが好きなだけなのかもしれない。

・「ヴェネチアン・メタル」と名乗る

親日バンドなのかと思いきや、自らの事をベネチアをコンセプトとした「ヴェネチアン・メタル」と名乗っており、ベネチアのサンマルコ広場で記念写真を喜々として撮っていたりと、まるで不可解な行動。機会があればインタビューしてみたいものである。

参照元:YouTube
執筆:ハマザキカク

▼Rain Delayの曲、『Shiseido』。途中で日本語が出てくるんだけど……