【マサイ通信】第7回:オレの弟(戦士)がライオン殺しの罪で悪徳警官に逮捕されてブタ箱に送り込まれたけど金を払って救出した(その2)
やばくね? おそらくこれ、本邦初どころか世界初だろ? これが、「マサイ族が連行される留置所」だよ。場所はタンザニア国境に近いロイトット(Loitokitok)な。キリマンジャロは目の前だ。それはさておき、中はどんな感じなのかっつーと……
すごくね? これが日本が誇るロケットニュース24のマサイジャーナリズムよ。ちなみに、「なんでライオンと戦っただけで……」と落ち込んでいる白シャツの赤パンがオレの弟な。赤いズボンは囚人服っていうか留置所の制服。で、もう1枚撮ってみたら……
笑っちゃってるよ!(笑) 何をしでかしたんだか知らねーけど、青シャツの彼は前向きだよ! でも、オレの弟は落ち込んだまま。かわいそうにな。
ちなみに、この写真を見せたらゴーがマジで「弟逮捕は、俺から金を引き出すためのウソじゃなかったのか!」とばかりにビックリしたのか、こんなことを聞いてきた。
羽鳥「でかした! こりゃいい記事になるぞ! これでもう、絶対に来月、1万6000シリング以上の原稿料が支払えるから安心しろ。ところで気になったんだけど、もしもルカの村にライオンが攻めてきたらどうするんだ? 女子供もいるだろうに、戦わないと危ないってのに、それでもマサイの戦士は戦えないのか?」
──とな。俺は答えた。
ルカ「そうだ」
羽鳥「じゃあ、指をくわえて見守るだけなのか?」
ルカ「まず、安全な場所に避難させる。それから、レポートを書くんだ」
羽鳥「ロケットニュース用の記事ってことか? ライオンが攻めてきてるのに、原稿を書くってことか? すごいライター魂だな!」
ルカ「ちがう(笑) 政府に、“ライオンが攻めてきたレポート” を書いて提出しなきゃいけないんだ」
羽鳥「それって、何月何日の何時頃、どこどこの方角からライオンが攻めてきました〜ってな感じのレポートってことか?」
ルカ「そうだ」
羽鳥「マサイの戦士が、ライオンと対峙しても、レポートを書くしかできないってことか? もう一生、二度とライオンと戦えないってことなのか」
ルカ「ハッハッハ(笑)」
羽鳥「あくまでも俺個人の意見だが、いろいろとあるとは思うが、俺はマサイの戦士は、ライオンと戦って欲しい。なぜなら、マサイの戦士は “戦士” だからだ」
ルカ「ああ」
──ともあれ、オレは警察に金を払い、弟を釈放してもらうことに成功した。弟は帰ってきた。だが、結果として牛とヤギを失った。来月頭、ゴーからグッドな原稿料が送られてくることを心待ちにしている今日このごろだ。そしたらまた、買えばいい。
これまでオレが戦ってきた相手はライオンだったけど、ライターとしてのオレは読者と戦うって宣言した。でも実は、それと同時にカネ目当ての警察とも戦っているんだ。忙しいだろ。でもオレタチは負けない。なぜならマサイの戦士は、戦士だからだ。
Report:ルカ(マサイ族)
意訳:GO羽鳥
Photo:RocketNews24.
▼緊急予告!! 次回のマサイ通信は「マサイオリンピック2016」の予定です