以前、映画館が唯一ない都市として奈良市を紹介したが……申し訳ございませんっ! 完全に記者のリサーチ不足でした!! 実は奈良以外にも県庁所在地に映画館がない都市があったのだ。それは山口県山口市である。
山口市は2012年に市内の映画館が閉館して以降、県庁所在地に映画館がゼロの都市になってしまった。先んじて2010年に映画館が消滅した奈良市では、映画祭などが行われているが山口市の映画事情はどうなのだろう。実際に山口市の方に聞いてみた!
・山口市から映画館が消えた
市のことなら、まずは市に聞くべし! ということで、最初にお話を伺ったのは山口市役所だ。山口の映画事情は? 市民はどう思っているの? 電話してみたところ以下の回答をいただくことができた。
「3年前まで『山口スカラ座』という映画館がありましたが、今はなくなってしまいました。映画館がなくなって残念という市民の声はちらほら聞きますが、当分、映画館を作る予定などはないと思われます。その代わりという訳ではありませんが、市の施設で映画上映を行ったり、関連イベントを開いたりしています」
なるほど! 話によると市内に映画館がないのは事実。また近々でつくられる予定もないらしい。市民が不自由な思いをすることがないよう、イベントなどを通じてフォローしているというが、改めて “映画館ゼロ” の事実を聞くと寂しいものである。
・でもやっぱり地元で映画がみたい!
とはいえ県全体から映画館が消滅したわけではない。山口市になくても、隣接する防府市に行けば「イオンシネマ」で最新作を楽しむことができる。でも、やっぱり市内で映画がみたい……! わかるよ、その気持ち!! できることなら地元でみたいよね! そんな市民のために奮闘している人たちがいる。
たとえば市の施設「山口情報芸術センター(YCAM)」では、定期的に映画の上映会が行われている。センターでは、1つの作品を2回見て作品に対する理解を深めるワークショップ形式のイベント「映画を2回観る会」や、センター前の公園で芝生に腰かけて映画を楽しむ「真夏の夜の星空上映会」などを実施。幅広い世代に映画の新たな楽しみ方を発信しているのだとか。
・単館系新作映画を上映する団体も
そのほか民間の団体 “西京シネクラブ” が定期的に単館系新作映画の上映を行っている。魅力的ではあるものの、上映される機会の少ないちょっとマニアックな映画たち。同クラブの事務局長は「映画に触れるいい機会。みんなで見るという楽しみを味わいに来て」と話してくれた。
レンタルショップに行けば簡単にみられるし、今やウェブサイト上で作品を購入できたりもするが、たんなる作品鑑賞にとどまらない魅力が映画館にはあると思う。山口にはそんな “映画館で映画をみる楽しみ” を伝え、残していこうと頑張っている人たちがいた。そのことは忘れてはいけないと感じた次第である。
Report:K.Masami
Photo:山口情報芸術センター