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「史上最も後味が悪い」と評され、カンヌ映画祭での上映中に退出者を続出させた映画といえば……そう、オーストリアの映画『ファニーゲーム』である。1997年に公開され、その恐ろしさからジワジワと話題に。2008年にはハリウッドでもリメイクされた。

「後味が悪いのに……心から離れない」という人も多いというこの作品を、あなたは映画館のスクリーンで見たことがあるだろうか? なんと2015年10月24日から、東京の「キネカ大森」で上映されるというのだ! あの後味の悪さが映画館で堪能できるぞ!!

・家族の前に現れた、白服の青年たち

穏やかな夏の午後、父・母・息子・犬の一家が別荘に車で向かうシーンから始まる『ファニーゲーム』。これから夏の楽しいバカンスを、家族で静かに平和に過ごす予定なのだろう。みな楽しそうだ。

しかし一家が別荘に到着し母アナが台所で立ち働いている所に、2人の青年が登場する。白のシャツと短パン、そして白の手袋をはめた彼らがアナに聞く。「卵を分けていただけませんか?」……と。

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・ハネケ監督「暴力が不快であることを再認識してもらいたかった」

作品を見たことがある人なら、この後に家族が直面する絶望的な展開は、思い出したくないほど鮮烈に脳裏に刻まれていることだろう。観客として見ているだけなのに作品の悪夢にあっけなく引きずり込まれ、終わる頃には「一体自分は何を見たのだ」とぼう然とする。

ローリング・ストーン誌には「あなたの見たことのない、最も怖いホラー映画20」に選ばれ、海外サイト COMPLEX では「後味の悪い映画ベスト50」にて堂々37位にランクインするなど、その衝撃はお墨付きだ。本作品のミヒャエル・ハネケ監督は「暴力が不快なものであることを再認識してもらいたかった」と語っている。

・片桐はいりさんが働いていた「キネカ大森」

1997年に公開されて以来 “伝説の作品” として語り継がれてきたので、きっと多くの人が『ファニーゲーム』を DVD や ビデオテープで見たことがあるはずだ。

でもせっかくなら映画館のでっかいスクリーンで見ようじゃないか! ということで10月24日〜10月30日の1週間は、東京大田区の「キネカ大森」。あの女優の片桐はいりさんが、たまに清掃係やチケットの “もぎり” をすることでも有名な「キネカ大森」にて上映されるのだから、こりゃあ見逃す手はないぞ!!

・同時にカルト的な人気を誇る『炎628』も上映!

そして2本立てとして同時上映されるのが……こちらも “伝説のトラウマ映画” と名高い『炎628』! 1985年にロシアにて製作されたこの作品には、第二次世界大戦中の白ロシア(現ベラルーシ)でのナチス・ドイツの残酷な統治方法が、1人の少年の過酷な運命を通して描かれている。邦題にある “628” とは、ナチスによって集団虐殺されたベラルーシの村の数なのだとか……。

ちなみに『炎628』の象徴的なワンシーンは、鉄人社の発表する「観ずに死ねるか! 傑作絶望シネマ88 〜総勢70人が語る極私的トラウマ映画論〜」という書籍の表紙にも使われているぞ。今回の『ファニーゲーム』& 『炎628』上映は、 “観ずに死ねるか” のスピンオフ企画だという。

空も高く爽やかな秋を感じるこの時期に、あえて “トラウマ” や “後味の悪さ” を存分に感じさせてくれる作品を映画館で見るのもオツなもの。さあ10月下旬はキネカ大森に GO だ!

・今回ご紹介した映画館の詳細データ
館名 キネカ大森
住所 東京都品川区南大井6-27-25 西友大森店5階

参照元:キネカ大森all cinemaFacebookCinema Cafe.net(日本語)COMPLEXRolling StoneIMDb(英語)、YouTube
執筆:小千谷サチ
Photo:RocketNews24

▼『ファニーゲーム』日本版予告編

▼『炎628』予告編

▼たまに「キネカ大森」で “働いている” 片桐はいりさん!