何かの匂いを嗅いだとたんに、感情や思い出が立ち上ってくる……そう、匂いと記憶や感情は、密接につながっているという。では犬はどうだろう? 人間の20万倍もの嗅覚を持つ犬は、匂いを嗅いで何かを思い出したり、感じたりするのだろうか?
この度、そんな “犬の嗅覚と感情” の関係性について調査が行われたところ、ワンコも匂いによって感情が刺激されること、そしてワンコは飼い主さんの匂いが大・大・大好きなことが判明したというではないか! なんだか、嬉しいぞ!!
・犬が匂いを嗅いだとき、感情はどうなるの?
「犬は人間よりもずっと強力な嗅覚を持っているので、匂いによって、より強い感情や思い出が生じると思われます」。そう話したのは、今回の調査を指揮した米エモリー大学の神経科学者のグレゴリー・バーンズさん。
高度な人工知能技術を用いた脳画像解析で、犬が「知らない犬」や「自分の家族」の匂いを嗅いだとき、脳の反応がどのように違うか、感情がどのように刺激されるかを調べたのだ。
・12匹の犬を対象に調査
対象となったのは、12匹の犬。全ての犬がよくトレーニングされており、脳の MRI画像を撮影している間もおとなしくしていたようだ。そして脳画像を解析しながら、調査チームは犬たちに、以下の5種類の匂いを嗅がせた。
1:自分の匂い
2:知らない犬
3:一緒に暮らしている犬
4:知らない人間
5:一緒に暮らしている人間
また、匂いのサンプル元となった犬や人間はテスト現場には参加せず、匂いのみが調査に用いられたという。ちなみに犬のお尻や生殖器部、人間の脇の下と、強い匂いが使用されたとのことだ。
・「一緒に暮らしている人」の匂いに脳が強く反応!
そして結果は、いずれの匂いを嗅いだ場合も、脳の中で “前向きな希望・感情” を司る部分が反応。なかでも最も強く反応したのが、「一緒に暮らしている人間」、次いで「一緒に暮らしている犬」の匂いを嗅いだときなのだとか。
このことから、「犬は家族の匂いが大好きであり、嗅ぐと “前向きな希望・感情” を抱く」ことが読み取れるのだった。
・なぜ、脳が反応するかは不明
セラピー犬として訓練を受けた犬は、人間の匂いに特に強い反応を見せたということだが、これはセラピー犬に共通する “先天的な素質”と長年のトレーニングによって身についた “後天的な傾向” のどちらが関係しているかは不明だという。
また、家族の匂いを嗅ぐと、なぜ犬の脳が強く反応するも分かっていない。人間が食事を用意してくれたり、遊んでくれるから? それとも遺伝子の傾向? 解明には更なる調査が必要だとバーンズさんは話す。
ちなみに犬が最も嫌う匂いは、柑橘系類、酢、唐辛子、虫よけ、消毒用アルコール、アンモニアなのだとか。やはり犬と匂いの世界は、奥が深そうだ。
参照元:The Dodo、the nest、San Diego Reader(英語)
執筆:小千谷サチ
Photo:Rocketnews24.