年間約1700万トン……これは日本で出されている食品廃棄物の量。このうち、まだ食べられる「食品ロス」は約500 〜 800万トンにも達するのだとか。うーん、私たちはとても多くの食品を無駄にしているようだ。もったいない……。
と思いつつも、この様な大きな数字を見てもあまりピンとこないもの。そこでこの度、「食品の無駄を実感してもらいましょう」と、国連が各国トップに『ゴミの料理』を振る舞ったというではないか! 一体どんな料理なのだろうか……?
・野菜クズで作られた『サラダ』や『ビール粕パン』など
2015年9月27日、国連本部に世界30カ国から首脳らが集まり、今年12月開催予定の「第21回締約国会議(COP21)」に向けた話し合いを行った。そんな各国トップらに昼食として振る舞われたのが……『ゴミ料理』だ!
理由は? と気になるものの、なにより知りたいのは「どんなメニューが出されたのか?」だ。以下で、メニューの一部をご紹介しよう。
【ベジタブル・バーガー】
規格外の野菜と再利用パンで作られた『ベジタブル・バーガー』 。付け合わせは、傷のついたビートで作られた『ケチャップ』と、キュウリの切れ端『ピクルス』、牛の飼料やバイオ燃料として使用されるはずのコーンから作られた『フライ』である。
【サラダ】
野菜くず(搾かすや茎、葉など)、規格外のリンゴ・梨、ひよこ豆缶を開けたときに出る汁で作られた『サラダ』。
【ビール粕パン】
ビールの醸造・蒸留過程で出た “穀物のカス” とカボチャの種の “未精製油” で作られた『パン』。
【カカオの殻カスタードクリーム】
カカオ豆の外殻、乾燥させた皮、“カカオ油” 採取の過程で出た残骸、コーヒーチェリーで作られた『カカオ・カスタードクリーム』。コーヒーチェリーとは、コーヒーノキの果実で中にコーヒーの豆が入っている。
・料理人:「ゴミとなる食材から、美味しい料理を作る挑戦」
ベジタリアンの人でも楽しめるようにと今回のメニューを手がけた料理人のダン・バーバーさんは、「通常ならゴミとして捨ててしまう食材で、本当に美味しい料理を作り出すことへの挑戦だった」と説明している。
また、美味しい『ゴミ料理』を多くの国のリーダーに食べてもらうことで、食品ゴミを大量に生む食文化を変えていくキッカケになってほしいという願いも込められているようだ。
・世界中で、まだ食べられる食材の3分の1がゴミとなっている
また潘 基文(パン・ギムン)事務総長も、食品ゴミがいかに気候変動に影響を与えているか示したかったと以下のように話した。
「今回の料理は、ゴミになっていただろう食材から作られたものです。ゴミになれば、埋め立てられ、メタンガスなどの温室効果ガスを排出させます。世界中でまだ食べられる食材の3分の1以上、10億トン以上がゴミとなって捨てられています。世界中で飢餓に苦しむ人がいるのに、これは恥ずべき事態です」
食品製造や農業の過程でも、交通機関と同等の気候変動の原因が作り出されているということだ。
プロの料理人が自信を持って各国首相に振る舞った今回の『ゴミ料理』。なかなか美味しそうなメニューなので、なんだか食べてみたいぞ!
参照元: The Times of India、ABC、Twitter @UN Spokesperson(英語)、農林水産省(日本語・PDF)
執筆:小千谷サチ
▼こちらがメニュー
Ban Ki-moon: over 1bn tons of edible food each year goes to waste | Lunch today included vegetable scraps #Action2015 pic.twitter.com/HIO28TmLK8
— UN Spokesperson (@UN_Spokesperson) September 27, 2015
▼これが規格外の野菜などで作られたバーガーだ!
Landfill salad? Eco-friendly menu at high-level working lunch on climate change included dishes made from food waste pic.twitter.com/zSJZF6iG8i
— UN Spokesperson (@UN_Spokesperson) September 27, 2015