何事にも “相性” はある。人と人、食材と食材、機械と機械ときたら、“ATMとキャッシュカードの相性” なんてのもある。あらかじめATMには、「利用できるカードはコレとコレですよ」みたいな説明が書いてある。それ以外なら利用不可だ。

だがしかし。急にお金が必要になった時は、そんな説明書きを見ているヒマはない。イチかバチかカードを入れて、「お引き出し」をピポッと押して、暗証番号をピコピコ入力。引き出し金額を指定して、あとはお金が出てくるだけ……という段階まで引っ張っておいて、アイツらは「ムリっす」と言うのである。あれは一体なんなのか。

・さんざん期待させておいてからの「ムリ」

できることなら、キャッシュカードを入れた直後に「取り扱いできません」と言ってほしい。そしたら私(筆者)も、「あ、利用できないカード入れちゃってゴメンナサイ!」と素直に謝る気持ちになる。ところがどっこい、ヤツラときたら最後の最後まで期待させて……「落とせるカナ?」と思わせておいてからの「ムリっす」なのだ。

なにせ暗証番号も入れている。指定金額も入れている。私の “すべて” をさらけ出した上で、キャッシュカードまで預けている。もう完全に丸裸。信じているのだ、ATMを。

それなのに、小悪魔的なATMときたら、「そのカードでお金を引き出しをしたい、と。暗証番号は……フム。で、いくらほしい? ……なるほどねぇ。ちょっとおまちくださいね。イケるかもしれませんので!」と、こっちをドキドキさせた末に──

「このカードはお取り扱いできません」

──と、冷徹にカードを突っぱね返してくるのだ。ガックシだ。私のドキドキを返してくれ。ムリならムリと、もっと早く言ってくれ。そもそも、ちゃんと「自分のカードが利用できるATM」に行けばいいだけの話なのだが、緊急事態、目前にATMがあったら「イケるかも」と思うのが人間でしょう。もうこれ以上、私の心をもてあそばないで。

執筆:GO羽鳥
Photo:RocketNews24.
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