人間、誰だって食べ物に関する好き嫌いの一つやあるだろう。「なんでも食べられる!」という人は本当にえらいと思うし尊敬する。私(筆者)は納豆をはじめいくつかの料理が食べられないのだが、それと同じくらいダメなのが「人の家の料理」だ。中でも絶対に無理なのが「人の家のおにぎり」である。
・汚いとか不潔だとかではいない
まず断っておくと私は潔癖症ではない。部屋はいつも適度に散らかっているし、酔っぱらって家に帰ればシャワーも浴びずに寝てしまう。なので、人の家の料理が汚いとか不潔だと思って食べられないわけではない。
よく「ビニール手袋をはめて握ったおにぎりは?」と聞かれるが、それは食べられない。先述したように汚いとか不潔だと思っているわけではないのだ。それなのに口に運ぶことは出来ない。真剣な話、どんなに空腹でも食べ物として見られなくなってしまうのだ。
「じゃあ寿司屋は?」と聞かれるが、それは余裕のOKで、おにぎり屋さんやコンビニのおにぎりもメチャメチャウマい。むしろ大好きで “プロが作っている” もしくは “商品として売っている” ものであれば一向に構わない。
・数々の試練
小学生の頃、運動会の昼食は毎年苦痛だった。友達の家族と何となく弁当をシェアする展開になった記憶はないだろうか? 腕によりをかけて作ったお母さんたちの料理を「いっぱい食べてね」と振る舞われる。幼心に「食べないと申し訳ないな」と思いつつも食べられなかった。なんとか、から揚げあたりを2つほどつまんで終了である。
最悪だったのは、高校生の夏休みに先輩の奥さん(元ヤン)がおにぎりを作ってくれたときだった。先輩は大の釣り好きで当時はブラックバス釣りにハマっていた。先輩の家に泊まりAM3時起きで出発するのだが、元ヤンの奥様は「車の中で食べな」とおにぎりを持たせてくれたのだ。
心意気はありがたい。さすが元ヤン妻だ、甲斐甲斐しい! だけど絶対に食べられない……。なぜなら私が一番苦手な『アルミホイルで包んである系』のおにぎりだったからだ。だが、先輩と2人きりの狭い車内……。「遠慮しないで食べろよ」と言われ覚悟を決めた。暗がりで涙目になりながらお茶で流し込むように一気食いし、その日は一日中気分が優れなかった。
・無理なものは無理
極論すれば「生理的に無理」なのだろうが、驚いたことがある。私の妻は「人の家の料理が大好き」なのだ。そんな人が地球上にいるとは思わなかった私はカルチャーショックを受けた。妻は外食するより人の家のご飯が好きなようで「ヨネスケは理想的」と言っている。
私は付き合っている女性でも最初は抵抗がある。だから「付き合いたての彼が私の料理を食べてくれない!」という女性がいたら待ってあげてほしい。私にはその彼の気持ちが痛いほどに分かる。彼があなたのことを大好きだったとしても、生理的に無理なものは無理なのだ。特に最初からおにぎりはハードルが高すぎるので気を付けよう。
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.