【コラム】なぜ男同士でホテルに入って「先にシャワーあびてこいよ」と言われたらビビってしまうのか(その2)

タケシが発した「先にシャワーあびてこいよ」に対し、私はフルパワーのスマイルを作りながら、つたない英語で以下のような返事した。

「いや、おれ、だ、ダイジョブだから、マジでダイジョブだからマジのマジで。てゆうか暑さのせいでカメラとかパソコンとか壊れてないか確認したいし、先にタケシ、シャワー浴びてきていいよ! マジで気を使わなくていいからマジで! マジのマジで!!」

それを聞いてタケシは「やれやれ」といった感じで、肩をすくめるジェスチャーをした後、ひとりシャワー室へと消えていった。キュッキュ……ジャーーーー!! と、水シャワーの音がバリバリ聞こえる。それがまたウルトラ怖い。もう私はパニック状態だ。

・最後の賭けに出た

タケシはイイヤツ。彼は信用できるボンドゥー(友達)だ。きっと「シャワーを浴びてからバスを探そう」とかいう展開になるはず。きっとそうだ。確率95%と信じたい。でも、もしも違う展開に突入したら……。俺がシャワーから出た瞬間に、ベッドに寝転ぶ半裸のタケシが「さあ来いよ」なんて言ってきたら……!!

──と、いろいろ妄想している最中、下半身にオレンジ色のバスタオルを巻いただけのタケシがシャワー室から出てきて、「いやぁ〜、すっごい気持ちよかったわ! 水だけどね(笑) ゴウも入れよ! きもちいいゾ!!」と満面の笑みで仁王立ちしていた。

もう完全に崖っぷち。タケシは「さあっ! さあっ!!」と、私をシャワー室へ行かせようとしている。おそらくタケシに悪気はないので、私がキレて「やめんかっ!」と怒るのもアレだし……マジのマジでどうしよう!! と、ここで私は大きな賭けに出た。

「タケシ、俺、シャワーを浴びる前に、いちおう念のため、バスの発着所に行ってみるわ! そんで、もしもバスがあったら、そのままコックスバザールに出発するわ。もちろんバス、ないとは思うけどね(テヘッ) バスがなかったらこの部屋に戻るわ!!」

と、極力タケシを刺激しないよう、バスの確認を申し出た。タケシは「マジでないから!」と力説しているが、私の決心は変わらない。しばし「ある・ない論争」を続けていると、やがてタケシは悲しげな表情で「好きにしろ……」と力なくつぶやき、ドアの手前まで私を見送ってくれた。

ホテルから10分ほど歩いてバスの発着所に到着。そのへんにいた男にダメ元で「コックスバザール行きのバスはあるかな?」と聞いてみた。すると……あった。バスは、あった。余裕で、あった。そして私は男が指差したバスに乗り込み、コックスバザールへ向かったのである。

タケシ……バス、あったよ。さようならタケシ、ありがとうタケシ。命の恩人、バングラのジャイアン、私の心のボンドゥー(友)よ。

執筆:GO羽鳥
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Photo:RocketNews24.

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