【徹底解説】ネットで話題の「イヌやネコが釣り針に刺されてサメのエサにされる動画」はインチキまみれのデマ動画だから騙されないように要注意(その2)

まずは「ネコをエサ」の前に、「イヌをエサ」の情報に関しての説明しよう。今から約9年前の2005年、今回の動画の舞台とされている「フランス領レユニオン島」で悲しい事件が起きた。同島でサメ漁をしている一部のアマチュア漁師が、実際に生きたままのイヌをエサにサメ漁をしていたのだ。

・漁師は逮捕

このニュースは、2005年当時にもフランスで報道されており、後にイヌをエサにしていた漁師も「動物虐待容疑」で逮捕されている。容疑者が映った裁判時の映像も公開されている。また、フランスの動物愛護団体によって「生きたイヌを釣りのエサにしてはならないという法律を作るべき」という嘆願書も作られ、世界80万人以上の署名が集まったという。

・法律も作られた

それを受けて2005年9月、レユニヨン島の政府は「生死にかかわらずイヌやネコを釣り船に乗せることを違反」と定め、激しい抗議に対処。つまり「生きたイヌを釣りのエサにしてはならない」という声に応える法律が作られたのだ。これが「イヌをエサにサメを釣る」騒動の顛末である。

つまり、過去に事実として、そのような事件はあったが、すでに解決済み。逮捕されたアマチュア漁師は「生きたイヌをエサにサメを釣る」という罪を犯したが、別にそのサメ漁がレユニオン島の一般的な習慣であるわけでもない。また、その後に同じ罪を犯した者が出たという報道も事実もない。

・動画は「イヌ問題」とは無関係

問題の動画には、最初からイヌなんて登場していなかったが、そもそも「イヌをエサにサメを釣る問題」とは全く関係ない動画なのである。この動画は最初から「ネコをエサ」をテーマに作られたモノなのだ。また、その「ネコをエサ」の真偽についても、この動画が公開された2009年の時点で、ある程度の結論が出ている。

・閲覧注意な動画サイトのユーザーは冷静だった

とりわけ活発に動画の真偽を確かめていたのは、動画サイト「liveleak」のユーザーたちだ。同サイトは、YouTube にも掲載されない(できない)ようなグロテスクな映像も容赦なく公開される極めて “閲覧注意だらけ” な場所であるが、そんな映像を普段から見極めているユーザーたちは傭兵なみに冷静沈着。

なにせ「かわいそう!」や「ひどい!」という声が出てくる前に、「どう見てもフェイク(うそ)」や「前にも見たよ」や「クソ動画アップすんな」と厳しい喝(かつ)をバシバシと書き込む “地獄の動画審議委員会” のような論客が世界中から集まっているのだ。そんな彼らが下した評価は以下のとおり。

「ネコに突き刺されているはずの “釣り針の部分のアップ” が見えていない」
「もしも本当にネコを針で吊り下げていたら、もっと首の皮が伸びるはず」
「そもそもサメがネコに食べられているシーンがない」
「全体を通して、海の色が違う」
「普通の漁のシーンを使ったりしている」
「ツギハギだらけの捏造動画だ」
「これは動物愛護団体のプロパガンダだ」
「こんなレベルの低いフェイク動画は久しぶりだぜ」
「動画の最後にあるURLに行ってみたか? 反吐が出るぜ」
「どう見てもフェイク(うそ)」

などなど、ネコに対する同情心はゼロであるが、冷静かつ的確なコメントが相次いでいた。褒めるべきことではないが、さすがは地獄の「liveleak」ユーザーである。

・謎の「私たちのネコちゃんを漁師から守ろうドットコム」

ちなみに動画の最後に書かれていたURLは、「saveourcatsfromfishermen.com」。日本語訳するなら「私たちのネコちゃんを漁師から守ろうドットコム」である。当然ながら、そのサイトは数年前に閉鎖されているが、そこには一体、何があったのか? なぜ反吐が出そうになったのか? その答えは、次ページ(その3)で解説しよう。

参照元:Dogs Were Used for Shark BaitNational Geographicliveleak(英語)、Fondation 30 Millions d’Amis(フランス語)
執筆:GO羽鳥和才雄一郎

▼残酷なシーンもあるので閲覧注意だが、これはウソ動画である

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