
フランス料理、トルコ料理と並び世界三大料理と称される「中華料理」。その歴史は古く、4000年とも6000年とも言われている。
数千年にわたり貪欲に研究されつづけてきた中華料理のなかには、ウマすぎてお坊さんも壁を跳び越えてしまうという究極のスープがあるという。その名は「佛跳牆(ファッチューチョン)」。人気グルメ漫画『美味しんぼ』でも「究極のメニューのひとつ」として紹介されたことがあるが、お坊さんが壁を跳び越えるとは、一体どんな味なのか? 実際に食べてみた。
・ファッチューチョンは「僧侶も壁を跳び越えて来ちゃうウマさ」という意味
「ファッチューチョン」は漢字で書くと「佛跳牆」。「佛」は僧侶、「跳」は跳ぶ、「牆」は壁や塀という意味だ。「自分に厳しくある修行僧でさえ、その香りをかぐと我慢できず寺の壁を跳び越えて来てしまう」という意味である。
・材料は数十種類! 化学調味料を使わないで究極のウマミを出す
ファッチューチョンは福健料理のひとつだ。主な材料はアワビやホタテ、ナマコ、キノコなど海と山の幸の乾物。それらを甕(かめ)の中にいれ、数時間~1日かけてじっくり煮たり蒸したりしてつくるスープである。
ファッチューチョンは店によって材料が違うが、共通点は乾物が使われているのでアミノ酸などウマミ成分が豊富であること。さらに多くの素材が使われているため複雑で深い味わいが特徴だ。化学調味料を使っておらず、素材本来の味を楽しめるスープであると言われている。
・実際に食べてみた
記者(私)が、ファッチューチョンを食べたのは福建省のアモイだ。ファッチューチョンは手のひらサイズのフタつきの甕で提供された。フタを開けてみると、なんとも食欲をそそる香りがした。
・どうみてもシンプルなのにめっちゃ濃厚!
中には琥珀色の透き通ったサラサラしたスープに乾物が数種類入っている。琥珀色はおそらく乾物由来のもの。見た目は大変シンプルである。
しかし透明のスープとは裏腹に濃厚、濃厚、濃厚! 濃厚といっても脂由来の濃さではない。適度な塩分と素材からかもされる深く強いウマミによるものだ。完全にウマミの虜になってしまい、いつまでもファッチューチョンを味わっていたい気分になる。こりゃ、修行僧も壁を跳び越えちゃうわ!
・中国でもコーヒーカップ1杯程度で3000円くらい
記者が訪れたのは1品30元(約490円)~のレストランだったのだが、ファッチューチョンは一杯200元(約3200円)くらいした。「そこそこウマイ」レベルの料理なら笑えない価格だが、ファッチューチョンの材料、調理法、そして味を思うと致し方ない。周りを見るとファッチューチョンを注文している人も少なくなかった。一度くらいは味わってみたいものなのかもしれない。
・日本でも食べられる
日本では、横浜や神戸などの中華街、また東京や大阪のホテルに入っているような中華料理店で提供されている。ただ、多くの店で事前に事前予約が必要である。なお材料は店によって異なり、なかには動物性タンパク質が入っていないベジタリアン向けのファッチューチョンを提供している店もあるので、予約する際に材料はお店に聞いてみると良いだろう。
・『美味しんぼ』では9巻に登場
ちなみに、ファッチューチョンは『美味しんぼ』の単行本9巻、アニメ版では第26話の「食べない理由」に登場する。ある理由から外ではどんなに素晴らしい料理も口にしない男性に山岡士郎が「究極のメニュー」として出すのだが……ファッチューチョンの料理名にピッタリなエピソードだ。食べる前に読んでおくとより感慨深いものになるだろう。
Report:沢井メグ
▼こちらがファッチューチョン、甕はコーヒーカップくらいの大きさだ
▼こちらはキノコなどを主としたファッチューチョンだ
▼シンプルそうな琥珀色のスープ、しかし味はとっても深くて複雑
▼様々な乾物が入っている
沢井メグ






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