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ツイッターに投稿された1枚の写真が、イギリスのサッカーファン、とりわけプレミアリーグの名門チーム「ニューカッスル・ユナイテッドFC」のサポーターの間で大きな論争を巻き起こしている。写真には、1人の黒人男性がカジノでギャンブルに興じる様子が写っているのだが……。

実はこの男性はニューカッスル・ユナイテッドFC に所属するセネガル人フォワード「パピス・シセ」選手。今時、サッカー選手がカジノでギャンブルするくらい何でもないことのように思えるが、今回は思わぬ反響を巻き起こすことになってしまった。

・なぜ写真が問題なのか?
パピス・シセ選手のギャンブル写真が問題視されているのには、過去のいきさつが絡んでいる。2012年10月、ニューカッスル・ユナイテッドFC は、消費者金融の Wonga社とスポンサー契約を締結。その結果、2013-14シーズンから同チームのユニフォームには、Wonga社の社名がプリントされることになった。しかし、それにパピス・シセ選手は反発したのだ。

・宗教上の問題
シセ選手は、イスラム教徒。イスラム教では利息を伴うお金の貸し借りが禁止されているのだ。消費者金融の社名が書かれたユニフォームを着ることは、貸し借りをプロモーションするに等しく、シセ選手には受け入れ難かったもよう。そこで、シセ選手は代わりにチャリティのロゴが入ったユニフォームの着用を提案し、問題の解決を図っていた。

・イスラム教ではギャンブル禁止
この件以来、シセ選手はアメリカの過激派のホームページで実名攻撃を受けるなど、人種差別的なバッシングを受けることに。そんな最中に先の写真がアップされると、さらに論争はヒートアップ。というのも、イスラム教では利息を伴うお金の貸し借りと同様に、ギャンブルも禁止されているからだ。

・ネットでの反応
ちなみに、この写真に対してネットユーザーたちからは

「宗教上の違いで Wonga の社名入りユニフォームを拒否しておきながら、なぜ信仰で禁止されているギャンブルに興じているんだ?」
「シセはカジノになら喜んで行くのさ。ローンを組まされることもないからな」

などなど、多くの非難が書き込まれた。

・シセ選手を擁護する意見も
シセ選手がカジノにいるところは多くのファンが目撃しており、彼はいつでもフレンドリーに振る舞っていたという意見もある。シセ選手と親しいある人物は「彼は西欧に生きるアフリカ人さ。こちらにきて、それまでの習慣を変えた部分もあるのはたしかだろう、例えばガールフレンドもいるしね」と語る。

また、その人物は「でも、彼は決して酒は飲まないんだ。ツイッターに投稿された写真については、ほんの気晴らしというところだろう。宗教について議論されるのと同様に、モラルについても考えるべきだ。人々は彼の信条を尊重すべきだと思う」ともコメントしている。

・本人も代理人もチームも「ノーコメント」
いずれにせよ、サッカー以外のことで注目されるのは本人にとってもチームにとっても本意ではないようで、シセ選手の代理人もチームのスポークスマンもノーコメントの姿勢を貫いている。

いつかシセ選手本人が、「カジノへ行ったのはギャンブルで金を稼いでチャリティに寄付するためさ」などのジョークを余裕で飛ばすくらい、ピッチ上で活躍することを期待したい。

参照元:Mirror News(英文)、Twitter @TaylorsFistpump
執筆:和才雄一郎

▼写真からは、コソコソせずに堂々とギャンブルしているようにも見える
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